事業会社にやってきた銀行員は、
「上から目線で何様?」
「自分では何もしないくせに。」
「リスク回避ばっかり!」
「現場に送ったら、現場が崩壊した。」
「銀行員の上手い使い方ってあるの?」
と、事業会社の社員に陰で言われています。
出向してきた銀行員にイライラせず、彼らを活かす使い方があります。
- 使えないのは特徴を知らないから
- 銀行員は真面目でキッチリさん
- 銀行員はリスクの臭いに敏感
- お札の数え方は神!
- 管理が最適解
- 現場に送ったら悲劇が生まれる
- 銀行員とは仲良く
- 半沢でリアルな銀行を学ぶ
- 銀行員は使えないと思っている方
- 出向してきた銀行員の扱いに困っている方
筆者は約20年、日本企業等、5社に所属したり、製造業を中心として何社もの企業に訪問し、銀行員の方々とも一緒に仕事をする機会が多くありました。
事業会社では銀行員が出向してくる事がよくあります。
会社が借金だらけだと銀行の植民地になっていたり、研修が目的だったりと、理由は様々です。
そんな銀行員ですが、事業会社の社員からよく聞こえてくるのは、
「銀行員は上から目線なだけで、何もできないし、使えない!」
普段、金勘定しかしていない銀行員に事業をドライブする事を期待するのは酷です。
ましてや事業会社の現場に近い部署となったら、銀行員が可哀想です。
しかし、事業会社内でも銀行員が輝ける部署があります。
先ずは銀行員の特徴を見極める必要があります。
銀行員の特徴と(事業会社で)使えない理由
基本的に銀行員の特徴はみんな同じです。個性はほぼありません。
同じタイプが銀行にはゴロゴロしています。それはまさに金太郎飴です。
銀行の人材育成は見習うべきところがあるといつも感心してしまいます。
そんな彼らの特徴を簡単にまとめると、
- 上司に忠実
- 真面目
- 管理が得意
- 数字を見ると必ず何か言う(文句)
- 書類のミス発見が得意
- リスク臭に敏感
- お札の数え方が神技!
詳しく見ていきます。
上司に忠実過ぎる(忠犬ハチ公)
上司に「死ね!」と言われたら、死ぬくらい上司に対して忠実です。
こうなった理由は、ひと昔前までは銀行は天下り先(借金漬けにして飼い慣らした会社)を数多く持っていました。
上司に媚を売り、忠実で居れば、銀行内に居場所が無くなっても出向先は選び放題、一生安泰が約束されていたので、こんな行員が増えました。
しかし事業会社では、上司に忠実でゴマをすればするほど、同僚や部下達は離れてしまいます。
その辺りのバランス感覚が銀行員には欠けています。
クソ真面目
そもそも銀行員になろうという人は、勉学に励んできた、真面目な人達です。
さらにはお金を扱う仕事なので、真面目に振る舞う教育も受けているので、事業会社の社員のいい加減さと比べると真面目と言えます。
この「クソ」がつく真面目さが事業会社ではあだとなります。
「スピードを優先したいから、この手続きは省略していい?」
「ダメです!」
手続き一つにしても「キチン」と出来ていないと気が済まないのです。
こうした事をやっていると、対立が生まれてしまいます。
管理が得意
金を貸した先を管理する必要があるので、
「定期的な会議」
「定期的な報告」
こうした定期的な管理をする能力が染み付いています。
この管理が事業会社ではウザがられます。
「上手くいっているんだからいいじゃん!」
「定期的にやる必要あるの?忙しいんだけど・・・」
「ダメです!定期的にやるんです。」
こちらも噛み合わなくなり、こちらも対立が生まれてきます。
数字を見てつまらない文句を言う
金を貸した先に対して、つまらない事でも何でも言って、
「僕はちゃんと意見しました!」
という上司へアピールする癖が染み付いています。
※ 貸し倒れた時のリスク回避も兼ねています。
事業会社に来ても、何か言わなきゃといつも身構えています。
しかし、彼らは現場で働いた事が無く「現場感」が分からず、聞きかじった事をフワフワ言う事しかできないので、事業会社からすると「つまらない文句」になります。
そんなフワフワ言葉を事業会社の担当者はあくびを我慢しながら聞いています。
書類の細かいミスを見つける
前述の通り、彼らは何かを言わなきゃといつも身構えています。
これが悪い方向に出ると、誤字脱字チェックになります。
これを事業会社の中でやってしまうと、
「誤字脱字?そんなのどうでもいいじゃん!」
「本質的な事業の中身の話を出来ないから、誤字脱字チェックですか・・・」
と、ガッカリします。
リスクの臭いに敏感で逃げ足が速い
正直なところ事業リスクは事業を手掛けた事のない銀行員には分かりません。
しかし、自分のリスクには非常に敏感です。
自分の評価が下がりそうな仕事には絶対に近づきません。
他の人にやらせ、失敗したら文句を言う立場になろうと必死です。
銀行の事業、銀行内での処世術を考えれば、こうなってしまうのは仕方がありません。
しかし、これは事業会社では通用しません。
時にはリスクを取って、事業や取組みを進めなければならない事もあります。
リスクから逃げ回る銀行員は冷ややかな目で見られるようになります。
お札の数え方が神技!
これは掛け値なしにすごいと思う特技です。
普通に数えられる人は多いかと思いますが、ポイントは最後の「パチーン!」です。
この「パチーン!」を聞けば、銀行員を尊敬できるようになります。
みんなが幸せになる上手い使い方
こうした銀行員の特徴を考えると、現場とリスクから一歩離れた管理部門が正解です。
経営企画は最適です。
しかし、経営企画は現場部門と事業を進める事もあるので、銀行員が不得意な事業推進ではなく、(経営)管理を担当してもらいます。
事業会社が嫌いな、数字、会議、書類管理を徹底してもらいます。
- 数字管理(予実管理)
- 定例会議管理(経営会議、取締役会事務局)
- 書類チェック・管理(契約書、重要書類)
- 経営者への気配り(ゴマすり、飲み会セッティング)
- お札数え(飲み会)
一つ注意したいのが、銀行は巨大組織なので、
「管理部門が管理部門を管理する」
という事をやっています。
これを事業会社でもやられてしまうと管理コストが増えるだけなので、
「何をどこまで管理する」
のかは目を光らせる必要があります。
ところで、経営企画に事業部門出身のエース社員が多い場合、
「経営者への気配り?バカらしい。昭和かよ!」
「ノミニケーションで会社が良くなったら、誰も苦労しないんだよ!」
と年配経営者をないがしろにする傾向があります。そんな会社では経営者が寂しく定時に帰って行く姿をよく見かけます。
こんな時には銀行員の上司に忠実な特徴を発揮してもらい、ゴマすり飲み会をセッティングしてもらい、経営との円滑な関係を構築します。
みんなが不幸になる下手な使い方
銀行員は数字を見て経営者目線でフワフワした話をするのが大得意です。
経営者の心に心地よく響く言葉なんてお手のもの。
こんな言葉に事業会社の経営者はコロっと騙されてしまいます。
「さすがだね~!うちの事を良く分かってくれてる。よしっ!事業の最前線で指揮をして、現場を活性化してくれないか?」
と、事業の最前線の上司に抜てきする事があります。
こうなると大失敗になるのは火を見るよりも明らかです。
配属して間もない頃はフワフワ言葉の連発に、
「この銀行員、よく知ってるなぁ。ひょっとしてデキる人?」
となりますが、日が経つにつれ、銀行員の特徴がボロボロと出てきます。
- 上司(経営者)へのゴマすりばかりで、現場は呆れ
- 遊び感覚ゼロのクソ真面目な管理で、現場はギスギスし
- 意味の無い定例会議ばかりで、現場を振り回し
- 数字ばかりにこだわり、現場はやる気を無くし
- 書類のミスばかり指摘されて、現場はウンザリし
- リスク回避ばかりで、新規取組みは生まれず
- 挙句の果てに率先して動かないので、現場は崩壊
エース社員が続々と退職を申し出てきて、初めて経営者は現場の異変に気付くのですが、手痛い人的、経済的損失を被ってしまいます。
銀行員は銀行員で、銀行の経験をもとに精一杯仕事をしたのに、結果はボロボロで自信を失ってしまいます。
「銀行員は管理は出来ても、現場は無理。」
なのです。
仲良くすると、将来メリットが
事業会社から見ると、銀行員は上から目線だったりとネガティブなイメージを持ちがちです。筆者も正直なところ銀行員へは良いイメージを持っていませんでした。
しかし、人それぞれ特徴が違うように、事業会社の社員の特徴と銀行員の特徴が違うのは当たり前で、こうした違いを理解したうえで、銀行員の特徴に合った場所で活躍してもらうと会社は活性化します。
それと、銀行員と仲良くしておくと、将来住宅ローンを組む時に金利を優遇してくれるかもしれません。
もっと銀行員の生態を学ぶ
筆者は銀行員を知るためにテレビドラマでも話題になった下記の小説を読みました。
「倍返し!」
なんて言葉がこの本ではでてきますが、本物の銀行員は絶対にしません。
前述の生涯安泰と引き換えに、上司にどんなに踏みつけられても耐えます。
小説では勧善懲悪で読者をスカッとさせるフィクションになっていますが、銀行内部の人間関係や文化もリアルに書かれています。
筆者が所属してきた会社では上司や同僚のほとんどが銀行出向者で、銀行文化にドップリ染まった事があるので「あるある!」と楽しく読めました。
ちなみに銀行出身の上司や同僚に聞いても、
「倍返し!」
はあり得ないとの事でした。
テレビは演出が激しいので、どちらかと言えば小説の方が銀行員文化をリアルに描けていると筆者は思います。
読後は銀行員の考え方や特徴をより一層理解することが出来ました。
これで記事は終わりとなります。
最後までお読みいただきありがとうございます。
本記事は筆者自身の銀行員との関りや会社生活を基にしています。
多少なりとも銀行員との付き合い方の参考になれば嬉しい限りです。