「朝のラジオ体操は強制だし、気が重い」
「しかも外で、何かの罰ゲーム?」
「この会社、無駄な仕事だらけじゃない?」
「お客様じゃなくて上司に向けた仕事ばかり」
こうした無駄な仕事ばかりさせる、古い体質の会社ではどうすればいいのでしょうか。
- ラジオ体操強制の会社で働いている方
- 無駄な仕事ばかりでウンザリしている方
- 上司向けの仕事ばかりで疲れている方
筆者はこれまでの20年で、日本企業等、5社に所属したり、製造業が中心ですが何社もの企業に訪問してきました。
「この仕事、誰の為にしているの?」
と思うことがイヤと言うほどありました。
SEをやっていた頃、ある大企業(自動車関連)でシステムの仕様打ち合わせをしていると、
「月間売上報告は3種類必要だから。」
と言われました。
筆者は、
「これを機会にフォーマットを統合しまったらいかがですか?」
とすすめましたが、統括部長さんから、
「あの会議はA取締役、この会議はB取締役、取締役会は社長が仕切っていて、それぞれの好みもあるし、誰かのフォーマットに揃えろなんて・・・、俺に辞めろって事?」
と言われ、お互い笑いましたが、無駄な仕事の一例でしょう。
また、ある会社では、お客様に向けた仕事が最優先のはずなのに、お客様を後回しにして上司に向けた仕事を優先させる事もあり、いつも疑問を感じていました。
無駄な仕事一覧
日次
- 通勤(職場に行く事が仕事)
- 始業時間30分~1時間前には出社(上司より早く)
- ラジオ体操(任意という名の強制)
- 朝礼、夕礼(輪になって♪)
- 朝礼や夕礼では社訓や社歌を大きな声で
- 毎朝の上司のご機嫌確認、部内共有
- お行儀よく席に座って上司の監視を受ける
- 職場ではひたすら黙る(隣りとの楽しいお喋りは厳禁)
- 電話はヒソヒソと話す
- 眠くなったら、仕事はしなくても目を開け続ける
- 上司へのマメな報告・連絡・相談(聞き耳を立てる上司への気遣い)
- メールのCC宛先追加(関係者全員に送らないと不貞腐れる人が居る)
- メール受信者の序列順の調整(偉い順になっていないと怒る人が居る)
- 稟議を出す前の先輩、上司の文面確認(一度は突き返される)
- ハンコがオンパレードされるまで待つ稟議決裁
- 仕事が無くても座って待つ残業時間(上司が帰るまで)
週次、月次
- 掃除当番
- 朝礼、夕礼の司会当番
- 朝礼、夕礼での3分スピーチ
- 上司に進捗報告する為の報告書作り
- 同じ内容なのに会議別に作り変える報告書
- 上司からのマウンティングを受ける為の会議
- 会議では上司の演説を黙って聞く
- 経営会議や取締役会に向けたリハーサル(会議の為の会議)
年次
- 社長の話を聞く仕事納め、仕事始めの会
- 会計年度が終わると行う、総会という名の飲み会
- 旅行・ゴルフ・運動会・祭り等の会社行事への参加
- 会社周辺の草むしり、樹木の剪定
不定期
- 新人研修
- 管理職研修
- 社長や取締役の暇つぶし出張のお供(講演会・セミナー)
飲み会
- 突然の上司からの誘いを断らない
- 絶えず上司の酒の減り具合を確認
- タイミングよく上司へお酌
- 頬がひきつる作り笑いをし続ける
- 上司の武勇伝に感心する
- 上司の説教を黙って聞く
- 二次会への参加(カラオケ・キャバクラ)
- たいして払ってくれないのに、翌朝、上司の席に出向いてうやうやしく御礼
去るか?残るか?それが問題
「無駄で無意味な仕事ばかり」
「ブラックだよなぁ」
「もう限界かも」
と、ヒエラルキー(階層)の下に居る社員ほど思うようになります。
無駄な仕事にイラっとして、衝動的に辞めたくなる事も多くあります。
筆者のこれまでの経験からすると、「残る」も「去る」もどちらでもいいと考えます。
課長、部長以上は美味しいから残る
これは正しい選択です。
ただしこれには条件があります。
今、所属している会社は、
- 国の許認可が必要な事業で、他社が参入しづらい(インフラ系)
- 製品にブランド力があり、日本や世界で圧倒的シェアがある
のどちらかであれば、少なくとも今社会人(20代半ば以上)であれば、所属している会社が定年まで存続している可能性は高いし、いわゆる潰れない会社です。
「既存のブラックや古い体質の会社は全部潰れる!」
と過激な論調はネットを中心に多くあります。
しかし、許認可事業で公益性が高かったり、製品が社会に広く浸透し、従業員も多い会社は国が助けている事実もあるので(JAL、東芝等)、過激な論調を盲目的に信じる必要はありません。
もう一つ、課長、部長までの道は大丈夫か確認してください
- 上司、先輩に嫌われていない
※ 超重要ポイント! - 同期との学歴比較で大きな差は無い
- これまでの仕事で大きなマイナスポイントは無い
- ゴマをする事は大きなストレスにならない
これらのチェックポイントに問題が無ければ、ゴマすりストレスに耐える必要はありますが、早ければ課長、もしくは部長職以上になって、美味しい思いをするのもいいのではないでしょうか。
「ブラックや古い体質の会社なんて、辞めちまえ!」
といった論調も多く、筆者も同意する部分はかなりあります。
一方で、「個人の生涯に渡る利益確保」という側面を考えれば、上位職になり、金銭的にも気持ち的にも美味しい思いが出来るならば、軽々しく捨ててしまうのは待つべきです。
(社会からブラック企業を撲滅させるという正義には反し、さらには苦しむ部下の姿に目をつぶる必要もありますが・・・)
時間の無駄だから去る
これも正しい選択の一つです。
会社の外には選びたい放題の世界が広がっています。
先進的な取り組みの日本企業、外資、フリーランス、etc...
「無駄な仕事」にイライラしながら時間を浪費していると、いつか心理的、身体的な影響が出てしまうので、さっさと退職するのも良い選択だと筆者は考えます。
特に30代を過ぎた男性だと、こうしたストレスが髪の毛に影響を与える事も多いので早めに決断する事をおすすめします。
筆者は30代を無駄な仕事ばかりの古い体質の会社でストレスに耐えながら過ごしてしまったので、おでこの面積が広がってしまいました。
筆者の場合、遺伝の側面も否めませんが、ストレスはハゲの大敵なので注意したいものです。
こうなっているのは何故?
昔の習慣をひきずっている
こうした無駄な仕事は日本の高度経済成長期に育まれました。
日本は人口ボーナス期でもあり、
「アメリカの真似をして、とにかく大量生産」
「誰が何をやってもうまくいく」
と頭を使わなくていい時代だったので、真面目に言われた事だけをこなす人材が必要でした。
経営者は新入社員を調教し、上司に忠実で、言われた事だけを従順にこなすロボットのようにする必要があったので、前述の無駄な仕事が生まれました。
高度経済成長期は遠い過去になっているのに「無駄な仕事」が健在なのは不思議ですが、これにも理由があります。
上位職(課長以上)が管理しやすい
命令に従順で、言われた事以外はやらない部下は非常に管理がしやすいのです。
例えば、部内ミーティングで課長が何かを提案したら、
「私はそうは思いません。その理由は~。私はこうするべきだと考えます。」
と部下達から様々な意見が出てしまったら、課長は調整と取り纏めに苦労します。
それよりも、
「おっしゃる通り!課長の意見に従います。」
となってくれた方が課長は楽に仕事を進める事ができるし、気分も良くなります。
さらに従順で無い部下が居ると、課長にも上司は居るので、その上司の目が気になります。
「きちんと部下を管理できてないみたいだね。」
と失点につながれば昇進にも影響が出るので、自ずと部下の管理も厳しくなります。
上位職が偉くなった気になれる
こうした会社では偉くなるに従い、顔色を伺う部下達が増えます。すると、自分が偉くなったような錯覚を起こします。
筆者も部長職をやりましたが、この錯覚をよく起こしていました。
- 朝、しかめっ面をしていると、部下達が遠慮しているのが分かる
- 自席に戻ると、部下達が姿勢を正す
- 文章力は無いのに、稟議書や報告書のチェックを求められる
- 進捗会議ではマウンティングし放題
- 会議で自分が気持ちよくなるだけの演説をしても、部下達は黙って聞き、同意してくれる
- 飲み会で黙って座っていれば、部下達がお酌に来る
- 飲み会で武勇伝を話すと、部下達が感心してくれる
部長職でこんなに偉そうな事を出来るのだから、取締役、社長となったら・・・。
「気持ちよくて、やめられない!」
が正直なところです。
下から見れば、バカらしい事ばかりの「無駄な仕事」が機能しているのはこうした理由があるのです。
「無駄な仕事」の弊害
社畜ばかりが増える
社員は、お行儀よく静かにし、上司の命令に従順にしていれば、失点する事は無くなり上司の評価はよくなります。
逆に、上司とぶつかるような意見やアイデアを出してしまったりすると、従順では無いとみなされて失点につながってしまうのです。
筆者も20代の頃は
「40過ぎたら新しいアイデアなんて出せないんだから、新しい事は20~30代の若手に任せるべきだ。」
と強気な事を言って、上司から嫌がられた経験があります。
こうした「とんがった若手」には 相応の罰が与えられます。
そのうち積極的な若手は(筆者もそうでしたが)、
「積極的に発言したり、上司に反対意見をすると、給料やボーナスは下がるし、昇進も遅れるから黙っていよう。」
と学習してしまい、何も発信しなくなり、言われた事だけをこなすロボットとなります。
こうなってしまうと、誰も新しいアイデアは出さなくなり、上司の顔色だけを見て、失点を少なくする事に終始する保守的な社員やイエスマン、いわゆる「社畜」ばかりが社内にあふれてしまいます。
何も生まれず、若手は去る
最近の激変していくビジネス環境に危機感を抱いた経営者や上司が
「既存の枠組みを脱却する自由闊達な意見を出してもらいたい。」
「指示待ちではダメだ!アイデアを出せ!トライアンドエラーだ!」
と叫んだところで、絶えず上司の顔色を見る社畜を溢れさせてしまっているので、こうした無駄な仕事をさせる環境を壊して環境を変えない限り、何も出てくることはありません。
更には、優秀な若者達はさっさと見切りをつけて出て行ってしまうので、気付けば若者は寄り付かず、行き場の無いおじさん社畜とおばさん社畜だけのよどんだ職場になります。
あるべき姿
- 経営層、中間管理職の考え方の180度転換
- 組織のフラット化(ヒラ、(リーダー)、マネージャー、経営陣)
- 無駄な仕事の完全撤廃
3つ掲げましたが、正直なところ「無駄な仕事」が機能している会社では無理です。
前述の通り「無駄な仕事」が機能する事によって、
「部下からの崇拝で気持ちよくなれ、給料もそれなり」
の上司達が、その環境を自ら捨てる事はあり得ません。
さらに「部下は上司の顔色を伺う」連鎖が起こり、悪い情報は上司に報告されなくなり、上に行けば行くほど「裸の王様」になります。
結果、裸の王様は、
「うちの組織はなかなか素晴らしい。」
と錯覚してしまい、いつまで経っても変化は起こりません。
理想の姿になってくれるのがいいんだけど
こうした会社があるべき姿に変わり、多種多様な価値観を受け入れ、自由闊達なアイデアから画期的な商品やサービスを開発し、更には、有能な若者達を惹きつける魅力溢れる会社に生まれ変わると、日本経済全体が活気を取り戻すのは間違いありません。
現在は「裸の王様達」が気持ちよく居座っているので、しばらく変わる事はありません。
「しばらく」とは、この先20~30年となります。(現在2020年)
と言うのも、人生100年時代を迎え、古い考えを強く持つ最終世代(50代後半)が現役を退く80歳代までは、この状態が続くからです。
残念ながら、
「この状態はすぐには変わらない」
という前提に立って選択をするのが、賢いビジネスマンと言えます。
これで記事は終わりとなります。
最後までお読みいただきありがとうございます。
この記事は筆者自身の会社員経験等を基にしています。
多少なりとも参考になれば嬉しい限りです。
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