「昨日と言ってる事が違うんですけど?」
「上司へのゴマすりばかりで、どこ向いて仕事してんの?」
「稟議の中継と部下の仕事の邪魔ばかりで、他に何か仕事してるの?」
「見ているだけでイライラする!」
と、優秀な部下であればあるほど、無能上司を見て思う事があります。
- 無能上司は権力大好きでゴマすり
- 無能上司の部下は悲惨な境遇
- うまくやるか?自分が去るか?
- 追い出しはよく考えて欲しい
- 社長や無能上司の上役に直談判は絶対ダメ!
- 無能上司に困っている方
- 無能上司への対応について知りたい方
筆者は約20年、日本企業等、5社に所属し、製造業が中心ですが何社もの企業に訪問し、上司と言われる方々と一緒に仕事をしてきました。
20~30代前半では、上司が無能だと思う事はよくあり、
「本当に使えない奴だなぁ。上司に尻尾振ってるだけじゃん!」
とイラ立っていました。
一方で、部長職時代には取締役と部下の板挟みになり、最後は取締役に従ってしまい、
「部下から『無能』って思われてるはず。自分はダメだなぁ。情けない。」
と感じる事もありました。
こんな経験を踏まえて、無能な上司について考えてみます。
無能上司の特徴
よく居る無能上司
- 年齢:50代前後(アラフィフ)~50代後半
- 学歴:意外と高学歴が多い(有名国立大、MARCH以上)
- 役職:担当部長、副部長、次長、課長、担当課長
※ 同年代の人材がだぶついていたのか、仕方なく役職をつけた感が満載。
- 権威主義(自分より偉い人が大好き)
- 直属の上司をないがしろ(直属の上司をすっ飛ばして、その上の上司の意向を気にしてばかり)
- 頭がいいので理屈をこねまわし「出来ない理由」を言うのが大得意
- 「難しい」が口ぐせ
- 前例が無いものはやりたがらない
- 「火中の栗を拾う」ような社内課題は避け、見て見ぬふり
- アピールできるのは、どちらも遠い昔の仕事の成果と高学歴
- 上司がいないと部下には横柄な態度
- 部下の提案は基本的に却下
- 酔うと部下に説教
- ゴマすり
- 保身
- 上に弱く、下に強い(権威主義)
悲惨な部下達
こうした無能上司の一番の被害者は部下になります。
- 部下の企画や提案は、理屈をこねて却下が基本
- 部下の企画や提案に賛同しても、無能上司の上役が難色を示したら即却下
- 部下を無能上司の上役からは守らず、無能上司の上役と一緒になって部下を責め立てる
- ヒマなので部下の仕事に干渉し、進め方にケチをつける
- 無能上司の上役が居ないと、部下にマウンティングし放題
- 部下が早く帰ろうとすると、仕事の質問をして引き留め
- 部下と無能上司の上役が仲良くしていると、普段の行動を告げ口されるんじゃないかとソワソワ
- 飲み会では部下への説教と遠い昔の成果の自慢
対処法
- 上司と親は選べない、人生の悲しい現実
- 無能上司とうまくやる(カラのレジ袋)
- 自分が会社を辞める、転職する
- 無能上司を追い出す
- 社長や無能上司の上役への直談判
無能上司とうまくやる
バカとハサミは使いよう
無能上司であればあるほど、使いやすいと筆者は考えます。
無能ぶりにイライラして口答えをし、対立軸を鮮明にすれば、部下が不利な立場に置かれるのは明白です。
それよりも、無能上司を上手くコントロールした方が、メリットが大きくなる事は確実です。
目の前のアホ面にはグッと耐え、先ずは無能上司の性格を分析し、何をすればうまく使えるのか考えてみます。
大半の無能上司は基本的に「権威主義」です。
(権威主義だから無能なのか、無能だから権威主義になったのか・・・)
彼らの権威主義をくすぐってあげると、意外と楽にコントロールができるものです。
カラのレジ袋になる
- 自分の意見は一旦横に置いて、無能上司を褒め称えてから軌道修正
無能な人間の言う事に対して、自分の意見を横に置き、褒め称えるのがいかに難しい事かは分かります。
しかし、無能上司をコントロールするためにはこれが一番だと筆者は考えます。
権威に飢えている無能上司は部下から褒められると得意になりがちです。
得意になったところで、すかさず意見を付け加え、軌道修正を試みます。
無能上司と真っ向勝負を挑めば、彼らは意固地になり間違った意見をゴリ押ししてしまう事が多いのです。
ここは有能な部下が一歩下がり、無能な意見を褒め称え、その上で意見を付け加え、軌道修正を図ってあげます。
この方法は上司になってからも有効です。
業務知識が十分でなかったり、感情や思いだけで突っ走ったりする部下の軌道修正を行う訓練にもなります。
自分が転職する
転職を思い立つ前に、
- 無能上司に付き合うデメリットを超えるメリットが未来にあるか?
これを考える必要があります。
無能な上司のせいで時間の無駄をしたとしても、将来に「地位」「給与」のメリットがあるのか、例えば、
こうしたメリットが見えているのなら、前述の「カラのレジ袋」になって残るのも一つの方法です。
一方で、会社に残っても将来に何のメリットも期待できないなら、新天地に賭けるのも良い選択だと筆者は考えます。
ただし転職をしても、転職先に無能上司が居て、また苦しめられる可能性は当然あります。
会社員と言えど「一人のビジネスマン」ですから、目の前の無能上司に苛立って感情的に突っ走るのでは無く、「自分の今と未来の損得」を考える事が大切です。
最近では、
「ブラックや古い体質の会社なんて、すぐ辞めちまえ!」
「こうした会社をのさばらせる事が社会の悪!」
と、もっともな意見も見かけ、筆者も同意します。
しかし、そう簡単に辞める事が出来ないのもよく分かります。筆者もそうでした。
それならば、会社のビジネスの状況、未来を予測し、生き残れる道を探ってみるのも一つの方法です。
無能上司を追い出す
この方法は出来れば避けたいところです。
その理由は、
「あなたが誰かに恨まれながら、人生を送って欲しくない。」
からです。
たとえあなたが正しく、無能上司の逆恨みであったとしても、無能上司が降格や退職をした場合、無能上司はあなたに恨みを抱きます。あなたは「上司に恨まれている」という気持ちを持って残りの人生を過ごさなければなりません。
これは想像以上に重いものです。
筆者は10数年前、同僚達とパワハラ上司と戦いました。
当時は正義感に駆られ、同僚達と探偵気取りで調査し、運良く横領の証拠を見つけました。
その後、会社に証拠を提出し、メールでも拡散し、上司を窮地に陥れ、上司は出社できなくなり、その上司が退職した後は同僚達と喜びを爆発させました。
しかし、時が経つにつれ「恨まれている」という気持ちが心の中で膨らんでいきました。
喜びを共にした同僚達も同じだったようで、いつしかその話題にはあまり触れなくなりました。
10数年経った今でも「恨まれている感」は消える事はありません。
「いや~、あの時はいろいろありましたね。じゃあノーサイドで。」
と、その上司と出来ればいいのですが、こんな事は絶対あり得ません。
なので、一生「恨まれている感」を持つ覚悟が無いのであれば、戦いは避けるべきです。
それでも戦うのなら
社長や無能上司の上役への直談判
これは組織に所属する以上、絶対にやってはいけない事です。
直談判をすると、
- その場は優しく聞いてくれるが、「無能社員のレッテル」が貼られる
「無能上司がおかしいのに、なんで自分が無能にならなきゃいけないの?」
これには3つの理由があります。
無能上司を任命したのは彼ら
無能上司を推薦し、任命したのは、無能上司の上役、最終判断は社長です。
直談判し、無能上司を悪く言えば、彼らの推薦、任命も間違いだと言っている事です。
こんな事を言われた彼らは何を思うでしょうか?
直談判を聞きながら、
「俺が推薦したあいつを無能だと言うのか?」
「遠回しに俺が無能だと言いたいつもりか?」
と、心中穏やかではありません。
その後、無能上司と話をし、
「○○がお前の文句を言っていたぞ。全く若いなぁ。もうちょっと厳しくしてやったらどうだ?世の中甘くないって事を教えてやれ。」
と笑い合っている事でしょう。
チームプレーの出来ない奴
いくら無能上司でも、残念ながらあなたのリーダーなのです。
リーダーを上手く使いこなす事も出来ず、不平不満を言う部下をどう思うでしょうか?
直談判を聞きながら、
「若いねぇ。感情で突っ走ってんなぁ。」
「こいつはチームプレーの出来ない奴だ。」
「人を上手く使う事もできないのか。リーダーにはなれないタイプだな。」
と冷静に分析されています。
この場合も、無能上司と話をし、
「○○がお前の文句を言っていたぞ。全くバカだなぁ。少しは会社組織ってものを教えてやったらどうだ?」
と笑い合っている事でしょう。
階層(ヒエラルキー)を無視する奴
「直接文句を言えないから、飛び越えて直談判をしているんだ!仕方ない!」
こうした方は、一度直談判をするとエスカレートしていきます。
「提案を却下された。」
「稟議を差し戻された。」
「意見を聞いてくれない。」
事あるごとに上司を飛び越えて直談判をしてしまいます。
これは最初に書いた無能上司の特徴の一つです。
結局、直談判をしている自分の姿は外から見たら、
「無能上司と同じ」
という事です。
「上司が無能だから直談判をしていたら、自分も無能と見られていた。」
と笑えないオチになってしまいます。
筆者は親会社で子会社の経営管理をやっていた時期があり、子会社の実務メンバーと仕事をする機会が多くありました。
時々、子会社の社長や取締役を飛び越えて筆者に直談判してくる子会社社員には非常に困りました。
子会社の社長に話して対処してもらいましたが、直談判をする社員はチームプレーの出来ない社員とされ、評価は下げられ、重要プロジェクトのメンバーからは外される対象になりました。
直談判は、
無能上司の上役を侮辱し、
チームプレーが出来ない、
階層(ヒエラルキー)を無視する、
といった、自分が無能社員であると自己主張している事になるので、絶対に回避すべきです。
無能上司が出来上がった経緯
就社
- 就職では無く就社、寄らば大樹の陰
こうした無能と呼ばれる上司は就職活動をする際、
「とりあえず大きくて、みんなが知っていて、上場していて、なんか守ってくれそうな会社」
を目指します。
彼らはプロフェッショナルになる事は考えず、
「ここならデカいし、名前はみんな知っているし、そこそこ給料はもらえるし、一生居られるでしょ。」
と、人生で一番肝心な「何のプロになるか?」は全く考えずに安易に入社します。
人事制度
- 気が付けば無能上司
入社後は部署をたらい回しにされます。
「俺はなんでも出来るぜ!」
「いろんな部署を経験させるって事は、いつかは経営だな!」
と調子に乗り、そのうち社歴も長くなると主任、係長、課長と役がつきます。
少し偉くなってくると、部門の仕事を突き詰める事もせず
「細かい事は部下にやらせればいい!俺はマネージメント専門!」
「専門的な事なんて俺には必要ないから、部下に調べさせればいい!」
「どの部署でも管理できちゃうな、俺ってすごい!」
と、更に調子に乗り、気付けば40~50代。
「あれ?俺って何かのプロ?」
と気づいた時には、時すでに遅し。
会社の外に出れば市場価値ゼロの中途半端な中年になってしまうのです。
時代の変化
- 気付くと時代が変わっていた
こうした無能上司に追い打ちをかける不幸な時代がやってきます。
- 景気低迷
- 年功序列廃止
- プロフェッショナル志向
- 転職当たり前
ある日突然、落下傘のように、その分野一筋で頑張ってきた転職組が無能上司の上役になったりします。
会社としては中途半端な役職がついている無能上司は動かしづらいし、年功序列給与の影響で高給取りなので、早く辞めてくれる事を祈るばかり。
こんな経緯を経て無能上司になった彼らが出来る事と言えば、
- 上司へのゴマすり
- ひたすら保身で失点はしない
これしか残っていないのです。
無能上司は自業自得?
残念ながら無能上司に同情する余地は全くありません。
「会社にぶら下がって生きる時代は終わる。」
こうした事が言われて何年経つでしょうか?昨日や今日に言い出された事ではありません。
その間、無能上司は何をしていたのでしょうか?
筆者がこれまでの会社でよく見かけた無能上司のオジサンを例にとると、
会社では、
- 部下の仕事の足を引っ張るだけで仕事をしない
- 専門知識を得ようとしない
- 上司にゴマすり
- 上司が居なければネットニュースを眺めて過ごす
- 若い女性社員の後ろ姿をニヤニヤと眺める
居酒屋では、
- 上司と行けばヘラヘラと笑いながら酌
- 同僚と行けば愚痴で盛り上がる
- 深夜に及ぶカラオケ、キャバクラ
一方、こんな方にも会いました。
- 平日は朝早く起き、休日は自由な時間を削り勉強
- 専門的な資格を取る
- 読書をする
- 知識や教養を高める
- 常にアンテナを高くして情報を得る
と、時代に取り残されないように頑張っている方も居ました。
どちらが正しい姿なのかは明らかです。
と、批判しても現状は変わらないので、
無能上司とうまくやり、美味しい思いをするために勉強する
- 「タテ社会」「空気」を制して、美味しい思いをする
保守的な上司が多く居る企業は古い体質と言えます。
古い体質はデメリットのように聞こえますが、古い体質の組織は研究され尽くしているので、勉強をすれば振る舞い方も見えてくるメリットがあります。
一方、先進的な企業では未知な部分が多く、ましてや若くてキレキレの上司達への対応方法は一筋縄ではいきません。
きちんと学んで行動すれば、それなりの見返りが期待できるのが古い体質の企業の良いところです。
先ず、古い体質の企業の典型的な文化である「タテ社会」を学ぶ必要があります。
これを読むと、「ウチの会社」と呼ぶ事が、日本の古くからの「家制度」に由来している事や、「タテ社会」の成り立ち、ナンバー2が美味しい理由が見えてきます。
もう一つ古い体質でサバイバルする為に学んでおく事が必要なのが「空気」です。
空気を支配する側に回れば、味方を増やす事も出来ます。一方で、空気を支配できなければ「空気の読めない人」となって、閑職に甘んじる結果になります。
「タテ社会の人間関係」「空気の研究」も出版されたのは40年以上前なので、表現も難しかったりしますが、「空気の研究」に関しては入門書もでています。
これらを読み、勉強する事で「タテ社会」での振る舞いを学び、「空気」を制して、美味しい思い(地位・報酬)を味わえるようになります。
筆者はこれらを読んで問題意識ばかりが先行してしまい、
「古い文化をぶっこわす!」
と意気込んで「空気の読めない人」になり、貧乏くじばかりをひかされた苦い経験があります。
残念ながらオーナーで無い限り古い体質は変えられません。
それよりもこうした本で学び、うまく振る舞い、個人の利益を最大化させる事も選択肢の一つです。
これで記事は終わりとなります。
最後までお読みいただきありがとうございます。
この記事は筆者自身の会社員経験等を基にしています。
多少なりとも参考になれば嬉しい限りです。