「みんな「ウチの会社」って言うのはなぜ?」
「上司に反論したら評価を下げられたのはなぜ?」」
「中途で入ると浮いた感じになるのはなぜ?」
「無価値な老害が偉そうにしているのはなぜ?」
古い体質の企業に入社したり、組織に入ると必ず感じる「なぜ?」があります。
こうした「なぜ?」を解決してくれる本があります。
- 1967年に出版されたのに、今でもほとんど当てはまる恐怖
- タテ社会にはいいところもある
- この先もしばらくは変わらない
- タテ社会を「守るも」「壊すも」「出て行くのも」自由な時代
- 日本のタテ社会に疑問を感じる方
- タテ社会に突入しないといけない方
筆者は約20年、完璧なタテ社会である古い体質の日本企業・組織に所属しました。
この本は日本のタテ社会を見事に説明していて、これまでの筆者の経験もピタリと当てはまっています。
正直なところ、タテ社会に入る前にこの本を読んでおけば、もっと上手に振る舞う事ができて、大出世したのでは?と本当に後悔しています。
引用と要約
経営者と従業員とは「縁あって結ばれた仲」であり、それは夫婦関係にも匹敵できる人と人との結びつきと解されている。
→ 現在、経営は従業員に何の気持ちも抱かないのに、従業員は経営・会社に対して「忠誠」を誓い、態度と行動で示さなければならない矛盾が未だに残っているのは、この考え方の名残です。
日本人は仲間といっしょにグループでいるとき、他の人々に対して実に冷たい態度をとる。
日本のどのような分野における社会集団においても、入団してからの年数というものが、その集団内における個人の位置・発言権・権力行使に 大きく影響しているのがつねである。
→ ウチの者、ヨソの者を区別し、さらには年数の浅い者(中途入社者)が居辛いのはこうした考えが原因なのです。
日本では、表面的な行動ばかりでなく、思考・意見の発表までにも序列意識が強く支配しているのである。
→ 上司への口答え厳禁な理由です。
彼らが決断をしいられた場合には、往々にして、人間的に最も親近な関係にある直属幹部に相談し、その助言によって決断をするのがつねである。
→ リーダーはどうしても直下の部下の意見を聞きたがり、さらには保身も兼ねて決断するのでナンバー2は実権を握れます。
日本の組織というのは、序列を守り、人間関係をうまく保っていれば、能力に応じてどんなにでも羽をのばせるし、なまけようと思えば、どんなにでもなまけることができ、タレントも能なしも同じように養っていける性質をもっている。
→ 上に気に入ってもらえさえすれば、後はのびのびと自由になれるメリット
日本人の「話せる」とか「話ができる」という場合は、気が合っているか、一方が自分をある程度犠牲にして、相手に共鳴、あるいは同情をもつことが前提となる。
→ 部下は入社してからの年数や序列を気にして、上司の意見に従いがち。
一方で無知な上司は、
「部下とは意見が合うな~。彼とは良い関係だ!」
大いなる勘違いをする。
他の国であったならば、その道の専門家としては一顧だにされないような、能力のない(あるいは能力の衰えた)年長者が、その道の権威と称され、肩書をもって脚光を浴びている姿は日本社会ならではの光景である。
→ 当時(1967年頃)から「老人(老害)天国」だったようです。
この本を読んだらやりたい事
上に気に入ってもらう
社長や上司に気に入ってもらうと、
「やりたい放題、サボり放題」
になるのは、筆者も経験しています。
運良く社長に気に入られた時は、予算も制限なく、やりたい放題でした。逆に直属の上司に嫌われてしまった時は、稟議はいつも差し戻し、評価は下がりっぱなしでウツになりそうでした。
このように上に気に入られていれば、タテ社会では上司が必要以上に保護してくれるので、
「上司への忠誠と引き換えに好き勝手にやる。」
この道を選択する事もできます。
この忠誠が厄介なところです。古い体質の会社であれば
- 上司へのゴマすり
- 上司との雑談
- 付き合い残業(上司が帰るまで帰らない)
- 上司との飲み(誘われたら絶対に断らない)
- 休日の付き合い(ゴルフ等)
これをやらなければ忠誠を示している事にはなりません。
この交換条件を受け入れる事が出来るのであれば好き勝手にやる道が拓けます。
ナンバー2を目指す
リーダーはいつでもナンバー2に意見を求めるのがタテ社会なので、会社でも部門でも、ナンバー2を取ると実権を握る事ができます。
「リーダーへの忠誠と引き換えに実権を握る。」
こちらも、「好き勝手にやる」と同じように忠誠を示さなければなりません。
会社や部門のナンバー2となれば、リーダーの考え方に合わせる事は絶対です。
筆者もこれは本当にストレスでした。表面上のゴマすりならいくらでも出来ますが、
「はぁ?時代は変わってるんだよ。」
といった考えに賛同するのはかなりのストレスになります。
こうしたストレスを乗り越えられるのであれば、ナンバー2になり実権を握る事ができます。
若手が意見を言える環境構築
これは言うまでもなく、
「若手が意見を合わせてくれているから会話が成り立っている」
を全てのおじさん上司は肝に銘じるべきでしょう。
時代の変化が遅かった2000年以前ならまだしも、変化の激しいこの時代では、おじさん(40代以降)の感覚・考えは
「もはや使えない!」
と断言できます。
であるなら、タテ社会に渋々順応し、意見を言えない若手からいかに意見を吸い上げ、実行するかが勝負なのです。目の前に居る若手が居なくなる前に、意見を自由に言える環境を作る必要があります。
この文化に耐えられないなら辞める
「ヒエラルキーの下で我慢するなんて人生の毀損」
と考えるのであれば、どんどんと外に出て行くべきでしょう。
ヨコ社会を展開している会社や組織はいくらでもあり、個人でも生きて行かれる時代なのだから、ストレスを溜めてタテ社会で我慢する必要は全くありません。
この先も変わらないのか
この本は1967年に出版されました。当時はアメリカをキャッチアップする時代でしたが、すでにそんな時代も遠い昔に終わったのに、未だにこの本のほとんど全ての内容が会社や組織の中で生き続いていることに恐怖すら覚えます。
著者によれば「タテ社会」は昔の「家制度」から始まっているとの事で、いまだに受け継がれてきているという事は、少なくとも「家制度」を経験した世代が死に絶えるまで存続するのでしょう。
残念な事に、この「家制度」を経験している60代以上のお爺さん経営者達は、人生100年時代を迎え、この先20~30年は確実に君臨するので、タテ社会文化が消えるのはまだまだ先のようです。
これから「タテ社会の人間関係」に突入しなければならない方は、是非この本を読んで、上手に振る舞えば、確固たる地位が約束されます。
これで記事は終わりとなります。
最後までお読みいただきありがとうございました。