「退職の踏ん切りがつかない」
「辞めようか迷う」
「誰かに相談しようかな」
「とりあえず転職活動しようかな」
こうした悩みを筆者も抱えていましたが、こんな時にやってはいけない事、やるべき事があります。
- 誰にも相談しない
- 転職活動はしない
- 自分の仕事にゴールを設定する
- 独りでモンモンとするしかない
- 退職に踏み切れない方
- 会社に残ろうか退職しようか迷っている方
筆者はこれまでの20年、日本企業など5社に所属しました。なので退職も5回経験しています。
退職の「踏ん切り」のつけ方がうまくできず、失敗した事もあります。
例えば、
コソコソと同僚に相談していたら、噂を広められて『辞める人』になってしまった。
なんとなく転職活動をしてしまい、中途半端で辞めた事を次の職場で後悔し続けた。
同僚や友人達も同じような失敗を繰り広げています。
彼らの体験、筆者自身の失敗、そして転職エージェントの友人の話を総合すると、やってはいけない事、やるべき事が見えてきました。
やってはいけない事
周囲に相談する
上司
上司に相談することは本当に無意味です。
そもそも、自分を管理する立場の人間に相談する事自体がおかしいのです。
なぜなら部下が辞める事は管理能力が無いとみなされ、失点につながるから引き留めるのが当然です。
「そんな中途半端じゃ、次に行っても通用しないよ。」
「3年は頑張ろう。」
「期待しているんだから。」
「そのうち昇給、昇進も考えている。」
と心にも無い事を言ってきます。
相談が終われば部下には、
「私の中だけに留めておくから。」
と言うものの、その日のうちに、
「○○が、辞めたいと言っていました。とりあえずは引き留めておきましたが近いうちに辞めるかもしれません。」
と、上司に業務報告をします。
「この世に口の堅い上司は存在しない。」
これを忘れないようにしないと、騙されるだけです。
たまに例外な上司も居ます。
- 経営に事あるごとに反発し、昇進を諦めた上司
- 市場価値のある技術を持っていて、転職回数もそれなりにある上司
こうした上司であれば相談できるかもしれませんが、上司を信用する事自体が危険なので相談しない方がいいでしょう。
同僚や後輩
「俺、辞めようかと思っているんだよ。」
と、同僚や後輩に言うのも絶対にやめるべき事です。
会社の「ただの同僚や後輩」を信頼する事は上司と同様に間違いです。
どんなに打ち解けていても、しょせん「たまたま集まった烏合の衆」です。
どんなに仲が良くても、しょせん「人の心は分からない」のです。
踏ん切りがつかず、迷っている時はなおさら相談したくなりますが、話せば必ず噂は広まります。
何と言っても「退職ネタ」は会社員の一番の大好物だからです。
そして、いつの間にか、
「辞めようとしている人」
というレッテルが貼られています。
前述の「ただの同僚や後輩」ですが、実は例外があります。
詳しくはこちらをご覧ください。
この「趣味」による、「お互いが誘い合う」つながりで結ばれている同僚や後輩なら信頼ができますが、自分の中で「踏ん切り」がつくまでは話すのは待ちましょう。
それ以外の「ただの同僚や後輩」に話すと痛い目に遭います。
家族
「親」「配偶者」が主な相談対象ですが、こちらも意味がありません。
親はどんなに先進的で見識のある人でも、しょせんは「過去の人」です。
結局は、これまでの親の人生の基準でしか話す事は出来ません。
たとえ超一流の会社であっても「ただのサラリーマン」の親であれば、話せる内容はつまらない上司と変わりません。
さらに悪い事に、親は対等な関係ではありません。
「親子」
この上下関係がある限り、対等な相談などできる訳が無いのです。
配偶者に関しては、もし自分と同じ、若しくはそれ以上稼いでいる配偶者であれば相談は出来ます。
結局のところ、パートナーが経済的不安定になっても家族が食べていけるのであれば問題は無いので、こうした配偶者の場合のみ相談が出来そうですが、先ずは自分一人で向き合い、その後、相談しましょう。
一方、「自分が家計の全てを支えている」といった場合は、不安を与えるだけなので「踏ん切り」「迷い」が消え、転職先が決まるまで相談するべきではありません。
友達
迷っている時に相談したくなるのは分かりますが、友人にとっては迷惑な話です。
「ただ話を聞いてもらいたいの?」
「どうしたいの?」
「背中を押して欲しいの?」
こうした相談は友人の時間の搾取です。学生であれば話は別ですが、社会人であれば皆忙しいのです。
会社の雰囲気、業務内容、人間関係、給与も断片的にしか分からなければ、的確なアドバイスなどできません。
ましてや、当の本人が迷っているのであれば、何を言ったらいいのか分からないので、こうした迷惑な相談は自分と相手の時間の無駄なのでやめるべきです。
安易な転職活動
「イヤなら辞めればいい。すぐに転職エージェントへ連絡。」
こんな風潮がありますが、これに乗っかる事は非常に危険です。
毎月100時間近く残業させられ、上司からは暴力を伴うパワハラを受け、心身ともに危険な状態であるのなら、今すぐ転職エージェントに泣きついて活動をした方がいいでしょう。
しかし、それ以外の場合、「踏ん切りがつかない」状態という事は、今の会社に何かあるから動けないので、それが自分なりに消化できるまで活動しないのがベストです。
そもそも、転職エージェントは応募者が動いてくれる事によってお金が入る仕組みなので、応募者を動かそうとするのは当たり前です。親身になって話を聞き、転職先を探してくれるのは「応募者が活動し、お金を生んでくれる」からなのです。
まだ踏ん切りのつかない状態でこの流れに乗ってしまうと、転職エージェント、新たに応募する企業の思惑に引きずり込まれ、自分の中の「踏ん切り」「迷い」を消化しないまま転職する事になります。
そして、この中途半端な感じを持ってしまうと、
「前もそうだったし、まぁいいか。次行きますか。」
と、次の中途半端を生む土壌になり、中途半端スパイラルに陥ってしまいます。
こうした事を避ける為にも、
「迷い」がなくなり、
「踏ん切り」がつくまで、
転職活動をしない事が大事です。
やるべき事
心にブレーキをかけている正体を探っていく必要がありますが、会社には仕事、給料、人間関係しかないのでどれかになります。
仕事が中途半端になる
給与がまずまず
出来上がった人間関係がもったいない
こういった例があります。
もう1つ、踏ん切りがつかない要因として「未知の世界に入る不安」も挙げられます。
これは後述します。
残る事を必死に考える
こうした時にはこの会社に残って未来はあるのかを真剣に考えてみる必要があります。
- 業界(拡大か縮小か?)
- 業界内での自社のポジション(首位か2位以下か?)
- 自分の仕事(社内失業しないか?)
- ライバル(少なくとも同期内でNo1.を掴めるか?)
- 給料(伸びていきそうか?)
- 地位(上位職を掴めるか?)
- 人間関係(大きなストレスになる奴は居るか?)
例えば、目の前に居る嫌いな上司が50代半ばなら、あと10年すれば居なくなるという計算も出来ます。
一方、業界は縮小の一途で、10年後は貧乏サラリーマン確定といった事も予想できます。
そして、
- 留まるメリットとリスク
- 動くメリットとリスク
をてんびんにかけて「自分の中」で判断します。
「やっぱりここに残ろう。」
も素晴らしい判断だと筆者は考えます。
筆者は5年前後で転職を繰り返してきたので、いつも人間関係はご破算になり、新たな職場でゼロから構築しました。
所属してきた会社は保守的な人が多く、人間関係を構築するのに時間がかかり、仕事で結果を出すのにも時間がかかりました。
それを考えれば、未来を考え、残る決意をし、業務に全力投球した方が、他社に移るよりも業績を上げる事が容易です。
この残る事のメリットとリスクを考える事は、
転職先に求めたいメリット、回避したいリスクになるので、転職活動をしようと思い立った際には有効です。
仕事の区切りを作ってみる
- 仕事は無くならないから自分で区切る
会社に長く在籍すれば、次から次へと仕事に関わり、
「もう仕事でがんじがらめで一生抜けられない。」
と思うのが当たり前です。
踏ん切りのつかない理由が「仕事でがんじがらめ」なのであれば、自分でゴールを決める必要があります。
筆者はシステム業務も生業としてきましたが、これもゴールがありませんでした。
会計システムがカットオーバーしても問題噴出、2次改造、3次改造、
対応していると、人事給与、営業支援、生産管理、貿易、EAI、管理会計、連結会計、社内ポータル・・・、
いつの間にか、会計システムのリニューアル時期が近づいている。
いつまで経っても終わらないのが仕事ですが、一方で、人生の時間はこの瞬間もどんどん減っています。
筆者は、
「どこかで区切らなければ、自分の人生が終わってしまう!」
と怖くなり、自分でゴールを設定しました。
勝手に決めたゴールなので誰にも言えませんでしたが、ゴールがあると仕事に集中する事もできます。
不思議なもので仕事に集中し、ゴールを超えると、「踏ん切り」もつきます。
筆者の場合、そこから転職活動をしました。残りの仕事はいわば「余生」でした。
もちろん情報システム全体の責任者だったので辞める際は、
「途中で逃げ出すのか!」
「自分で採用した部下を置いていくのか!」
「そんな奴は次で痛い目に遭うぞ!」
「何かあったら損害賠償だってあるんだからな!」
と、社長や取締役達に散々言われましたが辞めました。
「仕事は終わらない」という前提に立ち、
「自分のゴール」を決めると、
と踏ん切りがつき、
「赤の他人に何を言われようが」
貫く事ができます。
モンモンとする
前述の「やってはいけない事」では、上司、同僚・後輩、家族、友達に相談するべきではないと言いましたが、一体誰にこの踏ん切りのつかない迷える気持ちを相談すればいいのかとなります。
結論は一人で思い悩むしかありません。
誰かの意見を聞いてしまうと、その意見は必ず頭に残り、同調したり、反発したりします。
それは自分で考え、決断した事になりません。
ましてや転職活動なんてしてしまうと、隣りの芝生がキラキラして気になってしまい、考えなければならない事に真剣に向き合えなくなります。
踏ん切りがつかない状態の時は、人と会わず、転職活動もせず、独りモンモンとし、何か結論が出たら動き出す事が、先々の後悔を減らし、中途半端感を無くす事につながります。
何を選んでも不安は消えない
- 希望は一瞬、不安はいつも
前述の「未知の世界に入る不安」ですが、これは考えてもしょうがない事です。当たり前ですが、いくら未来を予想しても100%その通りにはなりません。
筆者はこれまで、会社員もフリーランスもやりました。しかし、
昇進と昇給を喜んでも、新たな職位への不安
転職が決まって喜んでも、新しい職場への不安
フリーランスで自由を喜んでも、収入不安定への不安
いい気持ちになっても、すぐに新たな不安がつきまとってきます。
「なぜ、不安はつきまとってくるのだろう。自分だけ?」
と、文字通り不安になる事もありました。そんな時、高校時代の友人達と飲む機会があり話してみました。
高校時代の友人達は実にバリエーションに富んでいます。
会社員、トレーダー、大学教授、木こり、医師、料理人、○○省の役人、起業家
年に1回はみんなに会うので話したところ、筆者と同じことを思っていました。
友人の中には経済的な成功を収め、都心の一等地に住んでいたりもしますが、彼も同じように未来に不安を抱えています。
金さえあれば、
地位さえあれば、
資格さえあれば、
悩みや不安なんて消えるのかと思っていましたが、友人達を見る限り、何がどうなろうが人間は不安を感じる生き物のようです。
結局のところ月並みな言葉で、
「目の前の事に真剣に取り組む事が将来の不安を減らす。忘れさせる。」
ここにたどり着いてしまう様です。
これで記事は終わりとなります。
最後までお読みいただきありがとうございます。
本記事は筆者自身の退職経験と友人等の体験談を基にしています。
多少なりとも退職を考える上での参考になれば嬉しい限りです。