「山はどうやってできるの?」
「日本アルプスはどうやってできたの?」
「大陸がぶつかるとなぜ山ができるの?」
こんな疑問をクリアにし、読後は山を見るたびに壮大な地球のドラマを想像できる本に出会えました。
- 山がどうやってできたのか分かる
- それぞれの山の成り立ちの違いが分かる
- 仕事にも役立つ
- 山への愛が深まる
- 山の質問をされるたびにスマホで調べるカッコ悪さが減る
- 山について勉強したい方
- パートナーや子供の質問に即座に答えたい方
- 学生時代、一般教養に興味が無く、勉強しなかった方
筆者の住んでいる地域は山に囲まれています。
山を見ていれば素朴な疑問が湧いてきます。
ある時、パートナーが山の質問をしてきたので、いつも通りスマホでググっていました。
「スマホに聞かないと、分からないんだ~(笑)。」
と、地味にプライドを傷つけられた後に探して出会ったのがこの一冊でした。
この本でも日本の国土に占める山の割合は書かれていますが、確かに日本は山だらけです。
丘陵地を含めれば、国土の73%が山のような地形です。
そんな身近な山について何も知らなかったのですが、この本で山の成り立ちが分かりました。
内容
目次
はじめに
準備運動:世界一高い山はエベレストか
一合目:山を見るための4つの視点
二合目:山の高さとは何か
三合目:論争の夜明け
四合目:大陸は移動する。
五合目:プレートとプルーム
六合目:山はこうしてできる ①断層運動、付加体、大陸衝突ほか
七合目:山はこうしてできる ②火山活動
九合目:日本の山のなりたち
十合目:プレートの循環、山の輪廻
あとがき
参考図書、図版の出典
※ 目次より引用
学んだこと
この本では山のなりたちや知識を深める事が出来ますが、一部を紹介します。
山が出来上がる原因は主に4つ。
もっともドラスティックなのは大陸どうしの衝突
※ 本書より引用
プレートが衝突するとどうなるか。
海と陸のプレートがぶつかる場合は岩石の違いから海のほうが重いので沈み、陸のプレートどうしがぶつかる場合はどちらも軽いので沈み込めず、盛り上がります。
※ 本書より引用
⇒ これにはマントル、海底、陸地を形成する岩の重さと、重い物質は深く沈み、軽い物質はその上に浮かぶ地球の特性が関係しています。
ヒマラヤは陸のプレート同士のぶつかり、四国山地は堆積物。
ところで、日本アルプスについては本書では「東北日本弧と西南日本弧の衝突」とありますが、大町山岳博物館のページを見ると「隆起と活発な火山活動」によって形成されたともあるので、どちらが正解なのでしょうか。
ド素人の筆者としては「衝突して隆起して活発な火山活動」とあいだを取って解釈しました。
プレートが沈み込むと、大量の堆積物がブルドーザーでかき上げられたように陸側へ押し上げられて付加体を形成し、山をつくります。
※ 本書より引用
⇒ 四国山地
大陸地殻を持つプレートどうしが衝突すると、沈み込めず山脈を形成します。
※ 本書より引用
⇒ ヒマラヤ山脈
日本アルプスは日本列島の中でも際立って高い山脈(飛騨山脈、木曾山脈、赤城山脈)をつくっています。しかも、これらは地質学的にはきわめて最近、200万年ほどでできたといわれています。これは伊豆・小笠原弧の衝突だけでなく、東北日本弧と西南日本弧が衝突したためで、その結果、きわめて短時間で高い山脈が形成されたのです。
※ 本書より引用
⇒ 日本アルプス
読後に起きる事、変わる事
山の見方が変わった
これは言うまでもありません。
この本を読む前は、山に登っても
「きれいな景色だなぁ。」
と、写真を撮り、周囲の山々をボンヤリ眺めるだけでした。
これを読んでからは、
「この山はいつ頃できたのだろう?」
「この山はどうやってできたのだろう?」
「どのように山の形を変えてきたのだろう?」
「目の前の石は何岩?どこから来たのだろう?」
「1000年後はどうなっているんだろう?」
と考えるようになり、ちょっと賢くなった気分になれます。
筆者は北アルプスに登りますが、前述の成り立ちを知り、
例えば、常念岳は2,857mなので、本書の通り約200万年で出来たとすると、
2,857m ÷ 200万年 = 0.14cm/年
動きの大小や、風化によって実際は違うのものの、小さな継続的な動きが、やがて巨大な変化を生むんだと納得しました。
仕事に役立った
著者は何か対象について考える際は、視点を変える必要性を述べています。
本書の主役である山を見る時は、地上・宇宙・海・接近と、あらゆる角度から見て考え、さらにはこれまでの経緯(歴史)を把握する事で山を理解できます。
今まで、目の前にある山をこうした視点で見る事はありませんでした。
この対象の観察方法は仕事にも大いに役立ちます。
例えば一つ業務課題があったとすると、この本に習い、課題を山に見立て、あらゆる視点から観察する事が出来ます。
客視点、担当視点、他部署視点、経営視点、取引先視点、競合他社視点
といろいろ出てきます。
仕事に行き詰って、
「気晴らしに山でも登りたいな~。」
と思った際に、この本の視点を切り替える事を思い出せば、何か手掛かりが見えてくるはずです。
筆者も「視点を変える」に助けられました。
山の本でありながら、仕事にも有益でした。
山への愛が深まった
この本を手に取る方は「山好き」な方も多いと思います。
好きな人をあらゆる角度から眺め、過去も知る事によって、冷める事もありますが、本当の愛が芽生える事もあります。
少なくとも山の過去を知って冷める方は居ないとは思うので、山への愛は確実に深まります。
山に関する質問に答えられた
冒頭、パートナーからプライドを傷つけられましたが、この本を読むと、
「へぇ~、よく知ってるね。」
が少し増え、ちょっとした優越感に浸れます。
最後に
最後に著者はこんなことを言っています。
いま地球上にある大陸は、超大陸が分裂と集合を繰り返し、地球の表面を何周も巡って現在の位置にモザイクの1つのピースとしてはめ込まれた寄木細工です。日本列島も、より規模が小さな寄木細工です。
※ 本書より引用
さらに、
大陸も、地球も、より大きな規模で見れば分裂と集合を繰り返す寄せ集めの「さざれ石」にすぎないのです。
※ 本書より引用
何十億年もかけて出来上がった今の「さざれ石」。
時間と規模のスケールが大きすぎて想像するのが難しいところです。
山に限らず、その辺に転がっている石一つにしても、地球の46億年の歴史が詰まっているのかと思うと、どこをどうやって旅したのか想像が膨らみます。
これで記事は終わりとなります。
最後までお読みいただきありがとうございます。
多少なりとも本選びの参考になれば嬉しい限りです。