「川のなりたちを知りたい」
「川の始まりはどうなっているの?」
「右岸、左岸はどっちがどっち?」
「川はどんな役目をしているの?」
こんな疑問をクリアにし、読後は川への想像をかき立てる本に出会えました。
- 川について勉強したい方
- 学生時代、一般教養に興味が無く、勉強しなかった方
- パートナーや子供の質問に即座に答えたい方
川は生活の身近な場所にあるものの、とりわけ勉強した事はありませんでした。
「ただ水が流れているだけでしょ。」
と、気に留めていませんでした。
ある時、
「この川はいつからここを流れているの?始まりはどこ?」
子供から素朴な質問をされ、明確に答えられませんでした。
そんな時にこの本に出会い、川について勉強ができました。
内容
目次
はじめに
第1部:川をめぐる13の謎
謎の1 大河の大迂回―黄河と揚子江 謎の2.
謎の2 ヒマラヤを乗り越える川
謎の3 「桃源郷」に密集する三つの大河
謎の4 川はなぜずれたのか |
謎の5 川を奪う川―河川の争奪
謎の6 平地より上を流れる川
謎の7 川がつくった段々畑」
謎の8 砂漠の洪水
謎の9 源流がない川
謎の10 黒い川と白い川
謎の11 異形の川さまざま
謎の12 海底を流れる川
謎の13 地球の外を流れる川第2部:川を下ってみよう
順路1 川はどうしてできたのか
順路2 上流の風景
順路3 中流の風景
順路4 下流の風景」第3部:川についての私の仮説
仮説の1 天竜川の源流はロシアにあった?
仮説の2 かつてのアマゾン川は途方もなく大きかった?
仮説の3 大陸には大きな川が三つできる?おわりに
参考図書※ 目次より引用
学んだこと
この本は川についての謎や知識を深める事が出来ますが、一部を紹介します。
川のなりたちを勉強したくて本書を手にしましたが、ある一節がありました。
川のなりたちを知るのは容易なことではありません。証拠がほとんど残っていないからです。文字どおり、水に流されてしまうのです。
※ 本書より引用
いつも迷っていた左岸と右岸は、
川の右岸、左岸とは、川の進行方向を向いたとき(源流を背にしたとき) の右側の岸、左側の岸のことです。
※ 本書より引用
その区別は基本的には河床の傾斜の違いから、上流は傾斜が急で、中流ではやや緩くなり、下流はほとんど傾斜がない平野を流れる、とされています。
※ 本書より引用
川のなりたちは想像するしか無さそうですが、川に関する基本的な知識は本を通して学ぶことができます。
川の役割として印象に残ったのが「資源」と「循環」です。
資源のなりたちについては川が海に流れ込み、
大量の堆積物がたまると、その中に含まれている有機物が、酸素がない状態で変質を始めます。その結果、天然ガスや石油など、人類にとって有用な資源へと変わっていくのです。
※ 本書より引用
との事です。本書でも述べられていますが、確かに大河の河口付近には油田があります。
循環についても、川の水も、流される堆積物も海に流れ着き、水は蒸発し、堆積物は溶岩やプレートの動きによって地上に戻り、また川に流されていく事から、
さまざまな物質が地球を循環するために、川はなくてはならないものであることがわかります。
※ 本書より引用
と著者は言っています。
読後に起きる事、変わる事
川の見方が変わる
これは言うまでもありません。
この本を読む前は、
「ただの川」
と見ていましたが、読後は近所の川を見ると、
「上流はどうなっているんだろう?分水嶺はどこなんだろう?」
山の上から川を見ると、
「1万年前はどこを流れていたんだろう?痕跡は無いかな。」
濁った川を見ると、
「海まで土は運ばれて、また山に帰ってくるのか。」
木が流されているのを見ると、
「これが海に沈み、資源になるのか。」
と、様々な場面で川の見方は変わり、想像が膨らむようになりました。
分水嶺に行きたくなる
この本で久しぶりに「分水嶺」という言葉を目にしました。
この本では何か所か分水嶺が出てきますが、行った事がある善知峠が出てきたので、読後はまた行きたくなりました。
「人生の分水嶺はどこだったのだろうか?」
「この先にも分水嶺はあるんだろうか。」
と自分の人生に重ねながら、分水嶺を眺めたくなりました。
川に関する質問に答えられた
右岸、左岸、上流、中流、下流に始まり、川について学んだ結果、川に関する質問には答えられるようになります。
冒頭、子供の質問に曖昧に答えていましたが、読後は的確に答えられるようになり、優越感にちょっとだけ浸れます。
川への愛が深まる
過去の痕跡を流し、「今」しか語らない川。
「資源」や「循環」のために、黙々と流れる川。
こうしたものを、
「ただの地球の営み」
と言ってしまえばそれまでですが、擬人化してみると、感慨深いものがあります。
この本で知識を得ると、川の役割や重要性が分かり、今まで以上に川を大事にしたいと思えます。
最後に
この本の第1部では、
「現在の流れがどうしてこうなったのか?」
を謎解きしています。
これを読むまでは、
「クネクネと曲がっているのは地形のせいでしょ。」
と短絡的に見ていましたが、プレート、断層、堆積の動きを追うと、川も一緒に動いていく事が分かります。
当たり前の事ですが、川だけに限らず地球の全ては少しずつ動いています。
ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。
よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。
水、川の流れだけでなく、川の土台である陸地も、大陸も、地球の何もかもが「久しくとどまりたるためしなし。」なんだと改めて知る事が出来ました。
何気なく見ている川ですが、謎に包まれている川の歴史、地球の営みへの大きな役割、大胆な仮説と、本書を通して川を見る目が変わりました。
これで記事は終わりとなります。
最後までお読みいただきありがとうございます。
多少なりとも本選びの参考になれば嬉しい限りです。