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外国人と話す前にいっきに読むと役立つ「いっきに学び直す日本史」

外国人と話す前にいっきに読むと役立つ「いっきに学び直す日本史」

日本の事を知っている知的な外国人と話していると日本の歴史について質問されます。

 

「奈良から京都に都が移ったのはどうして?」

豊臣秀吉の肩書き『関白』って何?」

「財閥は解体したのに、なんで三井とか三菱とかあるの?」

 

そんな時に答えられずに、

「なんで自分の国の歴史を知らないの?」

と、イラっとする事を言われなくて済む本があります。

 

このブログのまとめ
  • 無知に優しい構成
  • 「何で今こうなのか」が分かってくる
  • 読後は「知ってる!」が増える
  • 読後も手元に置いておきたい
  • 読めば歴史に興味が湧いてくる
  • 大容量なので挫折の危険性有
いっきに学び直す日本史 古代・中世・近世 教養編
安藤 達朗(著), 山岸 良二(監修), 佐藤 優(編集)
東洋経済新報社(2016年3月30日)
いっきに学び直す日本史 近代・現代 実用編
安藤 達朗(著), 佐藤 優(編集), 山岸 良二(監修)
東洋経済新報社(2016年3月30日)
対象の方
  • 日本史を学び直したい方
  • 明治以降の歴史が抜けている方
  • 外国人からの歴史質問にサラリと答えたい方

 

 

 

 

 

筆者はスペイン語圏で2年ほど仕事や生活をし、日本に戻り、約10年のブランクを経て、スペイン語を勉強し直しました。

 

スペイン語圏で現地の人と話した時も、ブランクの後、スペイン語圏の人達と話している時も気になっている事がありました。

 

日本の歴史や文化に興味を持つ外国人は本当にたくさん居ます。

 

それは当たり前です。これだけ独特の文化や歩みをした国はなかなかありません。

 

当然、日本人には質問したくなります。

 

彼らもググれば情報は得られますが、日本人の生の声で聞きたいものです。

 

しかし筆者は、外国人に聞かれる度に、

「ちょっと待って」

と言い、ググり、ウィキペディア頼み。

 

挙句の果てには、

ウィキペディアを見たら分かるよ。」

と言う始末。

 

驚いたのは逆の時です。

 

彼ら、外国人に歴史の事を聞くと詳細に教えてくれるのです。

例えば、メキシコ人やグァテマラ人はスペイン征服前のマヤやアステカ文明、さらにはスペイン征服後の歴史についてよく知っています。

 

当然、ウィキペディアを見ながらではありません。

 

スペイン語圏で仕事をしていた時も、現地の人達は自国の歴史をよく知っていたし、イギリス人やアメリカ人とITの仕事をしていた時も、自国の歴史は当たり前のように詳細に知っていて、質問すればサラリと答えてくれたことを思い出しました。

 

「このままではマズイ。バカ丸出し。」

「せめて自分の国の歴史くらいは・・・」

と思い、手に取ったのがこの本でした。

 

 

内容

筆者は高校時代は「地理」を選択したので、日本史は小中学校時代の知識しかありません。

 

自慢できる日本史の知識は、徹夜して「信長の野望」をやっていたので戦国時代のマニアックな武将名を記憶している事くらいです。

 

そんな筆者ですが、この本は助けもあるのでスラスラと読むことができました。

 

本の構成は日本の歴史の流れ通りになっています。

 

目次を抜粋しておきます。

 

『いっきに学び直す日本史 古代・中世・近世 【教養編】』の目次抜粋 

 

本書を強く推薦する 佐藤優

本書の構成・本書の利用法

『大学への日本史』はしがき

凡例

 

日本史の展開Ⅰ

原始・古代

第1章 日本文化の起源
 1 原始の社会
 2 農耕社会の成立

第2章 古代国家の形成と発展
 1 統一国家の成立
 2 律令国家の成立と展開
 3 律令国家の展開と動揺

第3章 貴族政治の展開
 1 律令国家の変貌
 2 荘園の発達と武士の台頭
 3 貴族政治の繁栄と国風文化

中世

第4章 武家社会の形成
 1 貴族政治の没落
 2 武家政権の成立
 3 鎌倉時代の経済と社会
 4 鎌倉時代の文化

コラム 九郎判官義経

第5章 大名領国の成立
 1 南北朝の内乱
 2 守護大名の成長
 3 室町幕府の衰退

コラム 同姓異人

近世(前期)

第6章 大名領国の展開と織豊政権
 1 戦国時代の社会と経済
 2 ヨーロッパとの接触
 3 織豊政権

コラム ヨーロッパ人の見た日本

第7章幕藩体制の成立
 1 幕藩体制
 2 鎖国
 3 商品経済の発展
 4 町人文化の成立

コラム 似て非なるもの

 

付録1 史料演習(古代~近世前期)

付録2 日本史の基礎知識

スペシャル対談『いっきに学び直す日本史 古代・中世・近世 教養編』の読みどころ 佐藤優×山岸良二

索引

※ 目次より引用

 

『いっきに学び直す日本史 近代・現代【実用編】』の目次抜粋

 

本書を強く推薦する 佐藤優

本書の構成・本書の利用法

凡例

 

日本史の展開Ⅱ

近世(後期)

第8章 幕藩体制の動揺
 1 幕藩体制の矛盾
 2 社会情勢の変化
 3 幕藩体制の危機

コラム 青年の革命

近代・現代

第9章 近代国家の成立
 1 武家政権の滅亡
 2 統一国家の形成
 3 資本主義の確立

コラム 淳風美俗

第10章 国際情勢の推移と日本
 1 デモクラシーの進展
 2 太平洋戦争への道
 3 第二次世界大戦と日本

第11章 現代の世界と日本
 1 占領下の日本
 2 国際情勢の変化と日本
 

付録① 史料演習(近世後期~近代)

付録② 日本史ガイダンス

スペシャル対談『いっきに学び直す日本史 近代・現代 実用編』の読みどころ 佐藤優×山岸良二索引

※ 目次より引用

 

 

メリット

無知に優しい構成

  • 解説、参考・補足、整理、ポイント・盲点で助けてくれる

いたる所に解説などがあり、理解を助けてくれます。

 

例えば、筆者が好きな戦国時代、秀吉の九州平定についての記述では、

 

そのころ,九州では島津義久(1533~1611)が薩摩・大隅・日向を統一し,肥後・肥前を攻めて龍造寺隆信を殺し,大友義鎮(宗麟)と戦って,ほぼ九州を制圧する勢いを示しつつあった。秀吉は義久に大友氏と和を結ぶように勧告したがいれられなかったので,諸将を動員し,1587(天正15)年,大軍を発して九州に向かい,島津義久は降伏した。
解説
秀吉は,島津義久に薩摩・大隅・日向の3国を安堵し,肥後には佐々成政を封じた。また,焼失していた博多の復興計画を立て,筑前筥崎においてバテレン(宣教師)追放令を出している。

※ 本書より引用

このような形で解説が入っています。

 

前述の通り、その他にも参考・補足等が盛りだくさんで、解説などが無いページは無いと言っても言い過ぎではないくらい充実しているので、読み進めるのを助けてくれます。

 

いろいろな起源が分かる

たとえば前述の「関白」の起源については、

 

良房の養子藤原基経(長良の子,836~91)は,清和天皇に次いで陽成天皇(在位 876~84)が10歳で即位すると,その摂政となり,成人するとこれを廃して,884(元慶8)年に58歳の光孝天皇(在位884~87)を擁立し,事実上の関白となった。これが関白のはじめである。関白は天皇をたすけ,すべての奏上を事前に内覧する,天皇成人後の政治を見るものであった。

※ 本書より引用

この辺を読んでおけば、うろ覚えであっても、

「関白は1200年前くらいが起源で、天皇を助ける役割なんだよ。」

と質問に答える事ができ、

「おっ、やるな。この日本人。」

と思わせる事ができます。

 

すっ飛ばされた明治以降の歴史が見えてくる

明治以降の歴史については、3学期末が目前で、要点だけ授業でやり、

「ここの詳細は自分達で読んでおくように。」

とやられてしまった方も多いと思います。筆者もその一人です。

 

大学受験で日本史を選択しなかったので、「今」に密接に関係する明治以降の歴史があやふやなままでした。

 

明治以降については「下巻」になりますが、200ページ超で解説されています。

 

これを読むと、高校以降でバラバラに見聞きした知識が時系列の「流れ」で捉えられるようになりました。

 

読んだ後もパラパラ見るのに最適

買った当初、上巻、下巻を通して読みましたが、読後はどんどん忘れました。

「第二次大戦末期の総理大臣は誰だっけ。」

と忘れてしまう事は日常茶飯事です。

 

そんな時も手元に置いておけば、パラパラとめくって読み直す事ができます。

 

「それなら、ウィキればいいじゃん。」

となりそうですが、ウィキでは人物の詳細は調べられても、歴史の流れは出てきません。

 

この本では人物の詳細記述は無いものの、歴史の流れの中で人物や出来事が登場してくるので前後関係が見えてきます。

 

もっと知りたい場合は、本書を読んで、気になった人物をウィキペディアで調べるとさらに理解が深まりました。

 

 

デメリット

厚くて、詳しくて、苦しい

前述の通り、筆者は小中学校時代の日本史の知識しか無かったので、このボリュームには圧倒されました。

 

巻末の付録、スペシャル対談を除いて、

上:357ページ、下:274ページの合わせて600ページ超。

 

さらに重要な単語のオンパレード。

 

何度も挫折しそうになりました。

 

 

読後に起きる事、変わる事

質問に答えられるようになる

読み終わると、質問に答えられる回数が増えます。

 

さらには歴史の流れも学ぶ事が出来るので、その前後に何が起きたのかも話せるようになりました。

 

前述の「奈良から京都に都が移ったのはどうして?」の質問にも、

 

桓武天皇は、寺院勢力の強い奈良を去って人心を一新するために,

※ 本書より引用

を読んでいれば、サラリと答える事ができます。

 

「知ってる!知ってる!」が出てくる

映画「関ヶ原」の中では「知ってる!知ってる!」が出てきました。

 

映画の冒頭、関ヶ原の戦いの前日、石田三成島左近、島信勝が馬に乗って登場しますが、こんなセリフがあります。

 

石田三成「かように小さな地蔵でも、千年の昔、大海人皇子がこの地で兵を起こした記憶が宿っとるかもしれぬ。」

島左近「まさしく」

島信勝「皇子はこの関ヶ原で兵を起こしたのですか、父上?」

島左近「戦はこの道の封鎖から始まった。その時、皇子が桃を配ったという桃配山があれじゃ。」

※ 映画内セリフより引用

筆者は「1000年前だから、1600 - 1000 = 600だから、ひょっとして壬申の乱?」と思い、本を開くと出ていました。

 

天智天皇ははじめ弟の大海人皇子を皇太子としたが,やがて子の大友皇子太政大臣として,皇位継承者を大友皇子とする意志を示したので,大海人皇子は吉野へ退いた。天智天皇が死ぬと,2人の対立は表面化し,672年に大海人皇子は美濃に走って兵を挙げ,近江に大友皇子を攻めて敗死させた。これを乱が起こった年の干支をとって,壬申の乱という。

※ 本書より引用

余談ですが、壬申の乱関ケ原の戦いと歴史上の大きな戦いが2度も発生した関ヶ原に行ってみたくなりました。

 

こちらの映画「関ヶ原」は記事にもしていますので、是非ご覧ください。

 

 

さらに映画「日本のいちばん長い日」を見た時もこの本は役立ちました。

 

戦況が悪化の一途を辿る中で総理大臣になった鈴木貫太郎、沖縄に上陸し、本土に迫るアメリカ軍、日本にとって厳しい条件のポツダム宣言を受託か黙殺か。

 

ポツダム宣言の中身は、本書を読んで知識があったので、

軍国主義の廃止、連合軍の占領、再軍備禁止などを受け入れるのは大変だっただろう。」

としみじみ思いながら、映画を観る事ができました。

 

歴史と今に興味が出る

「どうして今、こうなっているのか。」

これは歴史を振り返れば分かります。

 

例えば、前述の第二次大戦後の財閥解体について本書では、

 

財閥解体は,独占資本に一時的な打撃を与えたにすぎなかった。1947年ごろから,冷戦の激化につれて,アメリカの占領政策も日本独占資本育成の方向に転換しつつあったから,独占資本は,同系銀行を中心にしてしだいに再編・強化されていった。

※ 本書より引用

と書かれ、冷戦によって中途半端になったから、未だに名前が残っている事に納得ができました。

 

筆者は特に明治以降の歴史がすっぽ抜けていたので、本書は本当に役に立ちました。

 

 

最後に

出会った一人の外国人が、その国の人全体のイメージになる事はよくあります。

 

頭の良い外国人に会えば、

「あの国の人達は頭の良い人が多いのかも。」

逆に、無知ばっかりだと、

「あの国の人達は微妙だな。」

となってしまうものです。

 

さらに最後に出会った人のイメージは強く残るので、最後に会った外国人の印象が「その国の人」のイメージになりやすくなります。

 

そう考えると筆者のせいで、

「日本人は自分の国の歴史すらシリマセ~ン」

というイメージを外国人に植え付けていたらと思うと、日本史を勉強している日本人に申し訳なく思います。

 

挫折しそうになりながらも「いっきに学び直す日本史」を読んでからは、日本の歴史の流れを掴め、外国人に質問されても多少は自信を持って答えられるようになりました。

さらに子供からの歴史の質問にも答えられるようになり、

「お父さん、物知りだね。」

と言われ、嬉しくなりました。

 

これで記事は終わりとなります。

 

最後までお読みいただきありがとうございます。

本記事は筆者の「いっきに学び直す日本史」の読書を基にしています。

多少なりとも本選びの参考になれば嬉しい限りです。

 

今回紹介した本

いっきに学び直す日本史 古代・中世・近世 教養編
安藤 達朗(著), 山岸良二(監修), 佐藤 優(編集)
東洋経済新報社(2016年3月30日)
いっきに学び直す日本史 近代・現代 実用編
安藤 達朗(著), 佐藤 優(編集), 山岸 良二(監修)
東洋経済新報社(2016年3月30日)

 

記事内に出てきた映画

関ヶ原

日本のいちばん長い日

日本のいちばん長い日
(監督)原田眞人