昭和な価値観で古い体質の企業にいると、ある日、違和感に気付きます。
「お客様より上司が大事。」
「職場に居るだけで息が詰まる。」
「上司に何か提案すると全否定される。」
これらは古い体質の企業が持つ特徴の一部です。
こんな体質にウンザリして転職しても、新たな職場で、
「また古い体質・・・」
「前よりひどい・・・」
「ツイてない・・・」
「ひょっとして日本には古い体質の企業しかないの?」
そんな疑いを持ちたくもなります。
- 昭和な価値観で古い体質の企業の特徴
- 生き抜くも人生、脱出するも人生
- オーナーでないかぎり、変革は無理
- いずれ「和式トイレ」と同じように消えていく
- 所属している企業が古い体質なのか知りたい
- 古い体質の企業で苦しんでいる
- 古い体質の企業だけど生き残りたい!
筆者は約20年、古い体質の日本企業数社に所属し、仕事で何社も訪問してきました。
また、昭和気質の企業で経営企画業務や部長を経験してきました。
こうした組織を支配する経営者(元気じいさんや傲慢なオーナー社長)と仕事でもプライベートでも密接に付き合い、髪の毛、心身ともにすり減りました。
- 昔話・自慢話に付き合う毎週の飲み会
- 取締役会で企画を通すためのゴマすり・根回し飲み会
- 出張・視察という名の旅行のお供(国内・海外)
- ゴルフ、釣りのお供(楽しくない・・・)
さっそく特徴を見て行きましょう。
特徴
【オーナー、取締役、部課長の態度】
- 監視していないと部下は仕事をサボると思っている
- 部下に対しては高圧的で、社員は簡単に取り替え可能と思っている
※「雇ってやっている」という態度が見え隠れ - 社長、創業家に対しては絶対にイエスマン
※ 逆らうことは退職を意味する - 上から下にイジメとマウンティングの連鎖
※ 社長⇒取締役⇒部長⇒課長⇒係長⇒主任⇒ヒラ社員⇒派遣・バイト - 事業所内の一番偉い人が帰るときは、部下がお見送り
- 社長や上司が自分の席に来たら、立ち上がり直立不動で話を聞く
- 未だにパソコン仕事に対して否定的な考えを持っている
- 退職者は裏切り者であり、退職者に「仕打ち」をする
【職場環境】
- 課長以上は中年だらけ(30代後半以上)
- 取締役は高齢者だらけ(60~70代)
※ 幹部会議、経営会議、取締役会の後は部屋が加齢臭で満ちている - 職場の机の並びが教室のようで、一番後ろに上司の席があり、部下のPC画面を監視できる
- 机の配置で誰が偉いか一目瞭然
- 職位によって椅子と机の格差がある
- ヒラ社員の椅子が昔ながらの4つ車輪の安価な椅子
- 席替えは部長が案を出し、社長や取締役が決める
- 職場内に異様な緊張感があり、息が詰まる
- 電話は小声で話す
- 電話は新入社員が出るのが暗黙の了解で、出ないと先輩たちがにらんだり、プレッシャーをかけたりしてくる
【身だしなみ】
- 朝、白以外のワイシャツを選択すると、上司の顔が思い浮かんで迷う
- 朝、ニットネクタイを選択すると、上司の顔が思い浮かんで迷う
- スタイリッシュなスーツを着ていると社内で浮く
- 男性が長髪にしたり、ヒゲを生やしたりすると、説教部屋は確実
- 見栄えが悪いから、特に女性は眼鏡禁止
【勤務】
- 出勤することは主要業務の一つ
- 出社時と退社時のあいさつは上司に向かって大きな声で
- 出社時と退社時は上司一人一人、近所の部署にあいさつ行脚
- 始業前の掃除当番がある(サービス残業)
- 他人の目が気になる場所でラジオ体操
- 朝礼では輪番で3分スピーチ
- 毎週、仕事の進捗を報告する会議がある
- 上司が説教、マウンティングするための定例会議がある
- 社食の企業補助が少なく、まずくて午後のやる気に影響
- 社食があるのに弁当を持参すると「補助してやっているのに」と嫌み
- 毎日、何かしらの報告を直属の上司にしないといけない
- 定時で帰るときは理由を言ってから帰る
- 直属の上司が帰らないと帰れない
- 上司より先に帰ろうとすると「あの件、どうなった?」と必ず質問される
- サービス残業は当たり前で自己研鑽(けんさん)扱い
- 上司の監視が絶対なので、この先もテレワークはあり得ない
※ 新型コロナウィルス対策でリモートワーク環境を整備したが、緊急事態宣言が解除されたらテレワークも休止(廃止)される
【勤務外】
- 社員旅行、ゴルフ、イベントなどに参加をしないと評価に響く
- 上司が誘う飲み会や会社イベントに参加しないと、コミュニケーション能力が無いと評価に響く
- 飲み会では社長や取締役へのお酌で行列ができる
- お酌にこなかった部下をチェックしていて評価に反映
- 飲み会に誘わなかった事に上司が気付くと、仕事に支障がでる
※ ささいな事で怒られる、稟議(りんぎ)を承認しない・差し戻し - 上司がお中元、お歳暮、年賀状、お礼を期待
※ 世話をしているのだから、お礼があるべきという考え
この特徴一覧は古い体質の定番メニューなので、1個あてはまるという事は、確実に複数当てはまる、つまり古い体質の企業と言えます。
対処法
- 生き残りを賭けて古い体質で頑張るか、新天地を求めて旅立つか
「転職する勇気はない。かと言って、ここの古い体質にはウンザリ。やる気が出ない。」
「月曜日の朝が本当に嫌い。」
に落ちたことのある筆者は、
- 古い体質に文句を言いながら、
- 上司から言われた仕事だけをこなし、
- 上司の目を盗んでサボり、
- 憂さ晴らしの居酒屋で、会社や上司の文句三昧
を、何年もやってしまい、人生の貴重な時間を無駄にしたと後悔しました。
中途半端な生き方は後悔だけが膨らみます。
敵(古い体質)を学び、生き残る
新天地に旅立つ
企業が変われない理由
オーナーが危機感を持って対処すれば劇的に変わります。しかし、そうでない場合は変革を期待するのは時間の無駄です。
なぜなら変われない仕組みが現状では出来上がっているのです。
上司になればなるほど気持ちが良いのになんで変えるの?
筆者も経験しましたが、古い体質の会社では上司になればなるほど、本当に居心地が良いものです。
- 不機嫌な顔をしていると部下がご機嫌取り
- 気分に任せて説教
- 自分が決めたことに部下全員が従う
- 自分を嫌いな部下は他部署の同僚上司と結託してプレッシャー
- 自分に反抗的な部下は年度末の評価で逆襲
- 優位な立場を利用し、部下のボトムアップ提案を拒否
- 部下に仕事を押し付け、ネットサーフィン三昧
このように上位職になると王様気分を味わえます。
こんな最高な環境を自ら捨てる人はなかなか居ません。
ましてや自分も上司から同じ目に遭い、耐え忍んで成り上がったら、絶対に手放したくありません。
残念な中間管理職が変化を阻止
こうした古い体質の企業では年功序列が機能しているため、40~50代が組織の中枢である課長~部長職を担っています。彼らはこうした古い文化を変革できるポジションに居るはずです。
しかし、彼らは昭和な価値観しか認めない60~70代の取締役達にゴマすりばかりをしていて、この悪しき習慣を見て見ぬふりをします。
筆者の経験
部長や課長といっても「ただの会社員」に過ぎません。
上に従うしかないのです。
40~50代となれば、特段の技術を持たない会社員は転職の道もなくなり、20~30代の頃のように自分の意見を主張する「とんがった意見や行動」ができなくなります。
さらに、お金のかかる子供が居れば、保身に走り、おじいさん達にゴマをする社畜に成り下がるしかないのです。
人生100年時代で世代交代は「はるか先」
「まだまだ若い者には負けん!」
と言っている60~70代の取締役を筆者は数多く見てきました。
テレビを見ても分かるとおり、中央や地方の経済界で重鎮達がのさばっているかぎり、ここ数年で日本の古い体質の企業が変わることはありません。この先20年程度は、この状況が変わることはないでしょう。
さらには生活・衛生環境、栄養状態の向上、医療技術の進歩により、元気一杯の彼らは80歳を過ぎても経営のトップに居座り続けるでしょう。
この先20年が経ったら、私たちは何歳になっているでしょうか?
気付けば、私たちが「老害」「ポンコツ」と呼ばれているにもかかわらず、上はまだ君臨しているという不思議な状況に遭遇することでしょう。
昭和な価値観にメリットはあるが・・・
もちろん、こうした価値観にはメリットも含まれています。
例えば、会社イベントは団結力向上に効果があったり、職場の適度な緊張感を保ったりするメリットはあります。
一方で、将来を担う20~30代に昭和な文化を無理に押し付ければ、自由な考えを持つ有能な人材ほど去ってしまうのは明白です。
こうした古い体質な企業を例えるなら「和式トイレ」でしょう。
和式トイレは背骨が真っすぐになり、用を足しやすいという数少ないメリットがあります。
一方、慣れていない人たちは足がしびれ、長くしゃがめないし、妊婦や高齢者にも苦しい格好をさせるという不親切なところが、古い体質の企業によく似ています。
「洋式トイレ」の登場により、「和式トイレ」は取って代わられたように、こうした「和式(古い体質)な企業」もいずれ姿を消すでしょう。
これで記事は終わりです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
この記事は筆者の会社員経験などを基にしています。
多少なりとも参考になれば嬉しいかぎりです。
おまけ
「昭和な価値観」は、日本の高度経済成長期に育まれた価値観です。
日本は人口ボーナス期であり、
「アメリカのまねをして、とにかく大量生産」
という時代だったので、真面目に言われたことだけをこなす従順な人材が重宝されました。
良く言えば、社員は家族の一員(経営者:親、社員:子?召使?)で、上から下に管理統制が行き届き、部下は上司に従順である。
悪く言えば、独裁で部下の意見は通らず、上から言われたことだけしかできない、風通しの悪い組織。
高度経済成長が終わった1970年代から50年(半世紀)近く経つのに、いまだに根付いているのが、この価値観です。