「まとめ」と「始まり」
まとめ:社外でも生きて抜けるプロを養成する人事システムに変更を
年功序列や終身雇用が崩壊しつつある中で、昭和な価値観満載で古い体質の日本企業(≒ブラック企業)の多くで未だに存在しているのが「ゼネラリスト(社畜)養成人事」なのです。
終身雇用が実質的に崩壊している、いわゆるリストラを行う様な会社にもかかわらず、この古い人事システムだけが残っているのが不可解なところです。
ゼネラリスト(社畜)養成人事とは
新卒で入社し、ある部署に配属され、仕事を覚えた数年後には違う部署に異動させられます。営業、製造、経理、販促、営業所、総務、情報システム、販売子会社、保守子会社・・・。
よくある古い体質の企業の典型的な人事パターンかと思います。
こんな人事を繰り返し、10~20年経つと「この会社の事」は良く分かるベテランが育ちますが、会社の外から見ると、何もかもが中途半端な「市場価値の低い人」が出来上がってしまいます。
終身雇用が機能していた昭和には「この会社のベテラン、プロ」になる事には意味があったかもしれません。
しかし、終身雇用が実質崩壊しているこの時代にあっては会社にとっては「リストラがしたら確実に路頭に迷う」、社員にとっても「転職が出来ない」不幸な人事システムと言わざるを得ません。
しがみつかざるを得ない社員
これからは社員一人一人の市場価値を高める「一貫したキャリア形成」を行なう必要があるのです。
「おいおい、転職を助長するような事をしてどうするんだ。」と思われますが、
会社にしがみつくような社員は果たして必要なのでしょうか?
会社にしがみつく社員(社畜)は人事評価のマイナスポイントを極端に恐れるので
- イエスマン
※ 生殺与奪権を持つ上司が間違っていても、とにかくイエス! - 事なかれ主義
※ 何かトラブルがあってもマイナスポイントになるから隠蔽しがち - 保守的な言動
※ いかに失点しないかが重要 - 会社の問題には見て見ぬふり
※ 火中の栗を拾う事は大きなマイナスポイントを招く恐れがある - 新しい事にはチャレンジしない
※ 新しい事はいわゆる「千三つ」なので失敗してマイナスポイントを招く恐れがある
こうした特徴になります。
不幸にもITやAIをはじめとした技術革新が急速に進む現在、新しいビジネススタイルを生み出さなければ生き残れない世の中で、こんな社員は必要でしょうか?
一方で、ゼネラリスト(社畜)になった社員もなりたくてなった訳では無く、従順に会社の命令に従っていたら市場価値の無い人間になっていたのが本音でしょう。
プロ集団の会社
仮にプロ集団だけの会社であった場合、業績が低迷し、不幸にもリストラする事になったとしても、彼らは会社の外で生きていくだけのスキルがあり、市場価値も高いので何の心配もいりません。
社畜だらけの会社では、プロを中途採用しても、自分の仕事を奪われるかもしれない恐れや嫉妬から、市場価値の低いゼネラリスト(社畜)達が
- イジメたり
- 業務を邪魔したり
- 全てに反対したり
- 表面上、素直に応じても動かなかったり(面従腹背)
時には辞めさせてしまう事もあります。
プロ集団であれば
「自分はここでダメでも外で十分に食っていくことができる!」
こうした余裕があるので、つまらないイジメが発生する確率も格段に減ります。
そもそもこの問題は、就職・転職活動の時に「この職種のプロになりたい。」と活動するのでは無く、「この会社に入りたい。」という動機で活動する学生や中途入社者にも原因はありますが、「ゼネラリスト(社畜)養成人事」によって更に問題を深刻化させていると言っても過言ではないでしょう。
ゼネラリストにもいいところはあるが・・・
確かにゼネラリスト(社畜)は
- 社内の人脈は広い
- 上司に対しては腰が低い
- 「そこそこ」いろいろな仕事が出来る
こういった特徴があるので、経営にとっては重宝されます。
しかしながら、ゼネラリスト(社畜)になった社員達と公私共に長年付き合った筆者の経験からすると、大半の彼らは
「気づいたら、何のスキルも身についていなかった。」
「プロとしてこれが出来る!なんて言えるものが何一つない。」
「ここで我慢してしがみつくしかないんだよ。人生こんなはずじゃなかった。」
こういった愚痴を居酒屋でよく耳にしました。
確かに会社の業績が安定していた高度成長期の日本では機能していたのかもしれませんが、この時代にあっては、もはや制度疲弊してしまい、負の側面ばかりが目立っています。
未だ「ゼネラリスト(社畜)養成人事」を行なっている会社には、即刻このシステムを廃止し、社員一人一人と向き合い、その社員が「何かのプロ」になり、社外でも生きていかれるスキルを養成できる人事システムと職場環境を作ってほしいものです。
こうした環境を作り出す事が、人の出入りは激しくなりますが、結果として会社の長期的な発展を促し、社員一人一人が生き生きとした人生を送れる事に繋がるのではないでしょうか。