「あいつらはパソコンばかり見てるけど、ちゃんと仕事しているのか?」
「パソコンで無駄ばかり増えたのではないか?」
これだけIT化が進んでいても否定的な経営者はたくさん居ます。そんな彼らのへの対処法があります。
- 使えるようになりたい
- 知らない物は遠ざける
- ピッタリくっつく
- 家まで踏み込む
- マニュアルはダメ!
- 避けたら終わり
- パソコン嫌いな経営者をなんとかしたい方
- 古い体質の企業でなんとしても生き残りたい方
筆者は約20年、古い体質の日本企業等、5社に所属したり、製造業を中心として何社もの企業に訪問し、経営者や上司と言われる方々と一緒に仕事をしてきました。
特にお爺さん経営者とは密接に関わってきました。
筆者はIT担当だったので、お爺さん経営者のパソコンの先生になる事が多くありました。
また、ITの仕組みを会社に導入する立場だったので、
「こんなよく分からない物に、こんなに金をかけてどうするんだ!」
「こんなシステム入れても効果なんて出るの?」
「どうせただのおもちゃみたいなものだろ?」
「パソコンなんて、半分遊びの物だ。だから社員はサボる。」
こんな事を言われるのは日常茶飯事でした。
ウンザリし、
「日本に老害が居る限り、IT化なんて進まない。」
とふてくされたりもしました。
ある転職の面接ではITに興味を持ち、期待する経営者が居ました。
しかし時が経つと、ITの興味は薄れ、遠ざけるようになってしまいました。
それは筆者の接し方に問題があったからでした。
この失敗を繰り返さないように、次の転職先で試したところ経営者の興味が失われずに済みました。
この失敗例と上手くいった例を対比し、まとめました。
彼らはなぜそう思うのか?
- 自分が使えないから
- 分からないものは遠ざけたい
- 社員より劣っていると思われたくない
自分が使えないから
彼らのパソコンを使う様子をよく観察すると、
- 一本指打法
- デスクトップはファイルだらけ
- 電源をうまく落とせないと呼びつける
- ワードは文字を打つのが精一杯
※ 右寄せ、左寄せも分からない - エクセルのセルで計算なんて遠い夢
こんなレベルなのにも関わらず、IT担当からよく分からない稟議書が回ってきて決裁しなければいけない。
こんな状態を打破しようと、コッソリ本屋に行って調べてみるが、横文字と英字だらけで吐き気がする。
情シスのメンバーにシステムの使い方を聞いたら、最初は答えてくれたけど、
「マニュアルにしておきました~。」
と言われ、見たけれど、老眼でよく見えない。
で、また呼びつけたら、避けているような雰囲気で腹が立つ。
これではいつまで経っても、状況は改善しません。
分からないものは遠ざけたい
「本屋に行っても分からない、社員には避けられる」
こんな状態だと、分からないものがますます分からなくなります。
こうなってくると怒り半分で、
「分からないなら使わなければいい。俺は経営者だ。」
と開き直り、身の回りからITを遠ざけてしまいます。
身の回りから遠ざけたつもりでも、社員はいつも通りカタカタやっている。
相変わらず、意味不明な稟議が回ってくる。しかもこんなに高い!分からない!
どんどん否定的になるのは当たり前です。
社員より劣っていると思われたくない
年を重ね事業や人生では「全知全能の神」になれたのに、よく分からないパソコンがある。
青二才の若造の方が上手く使いこなせる。
教えてもらいたいけど、俺は「全知全能の神」
こうしたプライドが邪魔をして、素直に教えてもらう事が出来ません。
「プライドなんてバカらしい。さっさと頼んで教えてもらえばいいのに。」
と思いますが、彼らにとっては人生全てを賭けて築いたプライドです。
会社生活が全ての60代以上のサラリーマンならなおさらです。
そう簡単には捨てられません。
そんな彼らの気持ちに寄り添う必要があります。
対処法
- 彼らの考えを肯定する
- 付きっきりの覚悟
- 家庭のIT環境に踏み込む
彼らの考えを肯定する
「パソコンとばっかり向き合っているのはよくない。」
「Zoomやskypeやメールで本当のコミュニケーションなんてあり得ない。」
「手書きがいいんじゃないか?」
こんな言葉を口にする経営者に対しては、肯定する事が大切です。
確かにこれらは正論なのです。
パソコンやスマホを介したコミュニケーションは、実際に会うコミュニケーションと比較すれば、格段に劣ります。
手書きは思いが伝わります。
どれも間違いではありません。
これを教える側が持っているかどうかで、彼らのITを受け入れる気持ちは大きく変わります。
「何を古臭いことを言っているんだか。」
と思った瞬間に、彼らの心の扉は閉ざされてしまいます。
付きっきりの覚悟
- パソコンが新しくなった(OSも)
- 新しいメールの仕組みが導入された
- 新しいシステムが導入された
- 質問された
こうしたイベントが起きた時は付きっきりになる覚悟を持ちます。
ベンダーや情シスの薄っぺらいフォローしか無いのであれば、率先してこの役目を引き受けるのも有効です。
何度も同じ質問をされるかもしれませんが、粘り強く答えましょう。
間違っても、
「マニュアルのこの部分を見てください。」
と言うのは厳禁です。
上手く使えるようになるまでマンツーマンで指導する。
これをやり続けるだけでも彼らのパソコンと教えてくれるあなたに対する考えは変わります。
家庭のIT環境に踏み込む
付きっきりをやるようになったら、必ず家のIT環境の事を聞いてくるようになります。
「家の無線環境なんだけど。」
「家で使っているタブレットなんだけど、パソコンなんだけど。」
「今度、スマホ、タブレットを買おうかと思っているんだけど。」
こんな質問が来たら、思いっきり踏み込みましょう。
休日を使って彼らの家に行くのもいいですし、終業後に家電量販店に付き合うのも彼らの考えを変える大きな一歩になります。
間違っても、適当に答えて終わりはやめましょう。
前述の付きっきりの覚悟で、家庭のIT環境にも思いっきり踏み込むと、大きな信頼を得られます。
やってはいけない事
- 知ってて当然な態度をする
- 薄っぺらなフォロー
- 出来る限り避ける
知ってて当然な態度をする
知らず知らずのうちにこれをやっている社員は実に多いのです。
エクセル、ワード、パワポを使いこなしている社員からすると当たり前の事が分からないお爺さん達の気持ちが分かりません。
「自分は立場が上」
特にお爺さん経営者は「全知全能の神」のように振る舞いたいのに、いざパソコン、インターネットのネタになると分からずに悔しい。
そんなところに社員が知らない単語を出してくる。
その単語の意味を聞きたいけど「全知全能」のプライドが邪魔して聞けない。
そんな悔しい思いを察する事の出来ない社員は評価が下がって当たり前です。
薄っぺらなフォロー
ワークフローシステム、メール等は、お爺さん経営者でも触ってもらう必要があります。
こんな時に現れるのが、頼りない情シスメンバーです。
「こんなの知ってるでしょ。」
「承認ボタンだけ押せればいい。」
「メールなんて見るだけでいい。」
こんな勝手な思い込みでぞんざいにレクチャーされる経営者。
しかも情シスのメンバーでも若手が担当する事が多いので、出来る限り関わりたくないオーラ全開。
そんな薄っぺらなフォローをされて、誰が前向きになってパソコン仕事をしたくなるでしょうか?
「自分で勉強すればいい。」
そんな言葉もありますが、本を読んで使いこなせるなら、日本のIT化は格段に進んでいたでしょう。
出来る限り避ける
パソコンの使い方で困っているお爺さん経営者を助ける役目の人がそもそも使えないのです。
前述の情シスメンバーもそうですが、経営者とはあまり関わりたくないオーラを出す人が社内には多すぎます。
筆者は経営企画業務に従事する前は同じ考えでしたが、経営企画では経営者を避ける事は出来ないので、1日に何度も彼らと話をするようになりました。
そうすると彼らの方から、
「ついでにパソコンの事をちょっと教えて。」
と言われ教えていました。
あるとき居酒屋で、
「みんな俺の事を避けているから、細かいパソコンの事とか聞きにくいんだよ。」
と寂しそうに話をしていました。
偉そうで関わり合いたくないと思うお爺さん経営者も、こんな寂しい思いを抱えているのです。
最後に
経営者がITに関心を持ち、導入に積極的になると、生産性が向上する事は明白です。
手書きがキーボード入力になるだけでも大きな進歩です。
これを推進するためには、地位の高いお爺さん達に前向きになってもらう必要があります。
そのためには、彼らの気持ちに寄り添い、プライドを尊重しながら教えていく必要があります。
本当に面倒な作業ですが、これをやり遂げれば、経営者のITへの関心と自分への信頼を一気に勝ち取る事が出来ます。
これで記事は終わりとなります。
最後までお読みいただきありがとうございます。
本記事は対処の上手い先輩や部下の観察、そして筆者自身の失敗を基にしています。
多少なりとも、古い体質の企業での生き残り、お爺さん経営者へのIT指導の参考になれば嬉しい限りです。
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